徹底的に追い求める安全性 時代の最先端を行くDNSに直撃取材 第3回

アンチドーピングの姿勢は絶対に崩さない

プロテインを選ぶ時に大切な要素はいったい何だろう。お客様へのアンケートを実施した結果、意外な答えが明らかになった。そうしてもう一つ。DNSが決して譲らないことを話してくれた。それはドーピング対策だ。

 
プロテインを選ぶ際、読者のみなさんは何を考えているだろうか? タンパク質含有量? ビタミンが配合されている? 糖質の量? DNSはその答えを探るべく、大規模リサーチをかけた。話してくれたのは、戦略チームのチームリーダーである岡先聖太さんだ。

岡先「意外な結果が出たんです。お客様の購入基準は『味』でした。『おいしいプロテインを』というDNS発足時の言葉が蘇ったわけです。いわば原点回帰ですよね。確かにタンパク質含有量などの機能面が優れていたとしても、おいしくなければ長く続きません。大切なことを再認識できました」

では一体、どんな味がいいのだろう。素朴な疑問を、実際にお客様に尋ね、投票をしてもらい、誕生したのが限定フレーバーだ。これまでに「ラムネ風味」「焼きいも風味」「エナジードリンク風味」などをリリースしている。従来の「バニラ風味」「ストロベリー風味」「チョコレート風味」とは明らかに一線を画す革新的な商品になった。

岡先「すべてはお客様とのコミュニケーションです。私たちがおいしいだろうと言って次々に新しい味を出すのは簡単ですが、それではおもしろくない。DNSは、お客様と一緒に未来を切り拓いていきたいんです。開発段階での味の投票もそうですし、新製品発売のときには参加型のイベントを開催しています」

直近のエナジードリンク風味発売時には、40㎏のバーベルを何回持ち上げることができるかを競う「ベンチプレスチャレンジ」が開催された。さらに、ただイベントを行うだけではなくSNSを活用したプロモーションにも注力している。

岡先「公式アカウントとして、TwitterやFacebook、インスタグラムを運用しています。公式ホームページだけではどうしても一方通行的なコミュニケーションになりがちなので、SNSを積極的に活用してお客様と一緒に遊べる仕掛けをどんどん作っていきたいんです。例えば先ほどのベンチプレスチャレンジなら『#ベンチプレスチャレンジ』という具合に、イベント開催時にはハッシュタグをつけてPRを行っています。この理由は、もちろん商品のプロモーションもありますが、ベンチプレスに興味はあるけれどやったことない人のきっかけにもなればと思っています」

これが話題の「エナジードリンク風味」

▲これが話題の「エナジードリンク風味」

さらに、SNSの運用にあたっては、若手社員中心のチームを結成するという力の入れぶりだ。

岡先「基本的に20代前半の社員が自分の好きなものをアップしています。もちろん最低限のルールと発信プランはありますが、社員の裁量に任される部分が多いですね。特にインスタグラムに関しては若者を中心に多くの方が使ってらっしゃいます。細かい数字は社外秘になりますが、プロテインを購入するのは、部活生か、ちょっと自分の衰えを感じてきた世代が中心になります。であればインスタグラムも含めてSNSを活用しない手はない。しかし変な話、おっさんの感性では彼らに響くコンテンツが生み出せるかわからない(苦笑)。年代が近いほうがお客様と分かり合えることも多い。そういった面でも、若手の感性を重視しています」

面白いイベントやフォトジェニックな写真を通じて既存顧客はもちろん、新規顧客の獲得も目指す。しかし、それだけではない。DNSが描いている壮大な夢がある。

岡先「簡単に言えば『筋肉がイロモノじゃない世界』を作りたいんです。日本のスポーツ人口を増やして、筋肉、プロテインを一般化させたい。なぜならそれが日本人を強くして、日本をよりよくしていけることに繋がると思うんです。最近は日本でも筋肉ブームが起きるなどいい風が吹き始めていますよね。でもまだ、コンテストに出ている選手のことはイロモノで見てしまう文化があるようにも感じます。そうではなくて、筋肉が盛り上がった体が普通でかっこいい、機能的な体だよと日本に定着させたいと思っています」

フィットネス先進国・アメリカではトレーニングに対する敷居が低く、マッチョに向けられる視線も温かいそうだ。

岡先「これには教育文化の違いもあるんですけど。アメリカでは、高校の授業に筋力トレーニングが入っているんです。なのでアスリートではなくても、ある程度トレーニングや栄養の知識を持っているし、実際に普通の人がトレーニングするんですよね」

背景には生活習慣病対策などさまざまな要因があったそうだが、日本も他人事ではない。平成27年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によれば肥満者(BMI≧25)の割合が男性29.5%、女性19.2%。肥満=生活習慣病と安直に結びつけることはできないが、決していい状況とは言えない。

岡先「日本ではスポーツ学科やスポーツ強豪校でない限り、栄養やトレーニングのことを教わることがまずないですよね。国の教育を変えていくのには時間がかかるとしても、我々ができる最善を尽くしたい。日本のスタンダードを変えて、日本全体のレベルを上げていきたいんです。例えばSNSをきっかけとしてプロテインやサプリメントに興味を持ってくれたらうれしいですし、その興味にはできる限り応えたいと思っています。ウェブマガジン『DESIRE TO EVOLUTION(進化への渇望)http://www.dnszone.jp/』ではサプリメントの知識をはじめ、トレーニング方法や最新の国際的な科学的見解、トレーニーなら共感してもらえるであろう『筋肉格言』など、バラエティに富んだ情報を配信しています。一番最初のサイトを立ち上げからは10年弱経っていますが、リニューアルをくり返して学生でもわかりやすいように改良を続けています。教科書的な真面目な内容から、くすっと笑える情報まで掲載しているので、ぜひ覗いてみてください」

国際基準で物事を考えるDNSは、アンチドーピングに対する姿勢もまっすぐだ。岡先さんの話を眞里谷さんが引き継ぐ。

眞里谷「私たちDNSは、2016年7月に『インフォームドチョイス』というアンチドーピングプログラムに移行しました。日本国内のJADA(日本アンチドーピング機構)の商品認証プログラムから抜けたんです。理由はただ一つ、選手を守りたいからです。現状のJADAの検査制度に疑問を持ったことと、国際的に通用するかどうかが決め手になりました」 

すんなりと移行したわけではない。長い交渉期間を経て、JADAでは満足いく結果を得られないと判断した結果だった。世界に目を向けると、WADA(世界アンチドーピング機構)が禁止薬物を発表し、LGC社がインフォームドチョイスというプログラムによって商品を分析し、禁止物質が入っているかどうかチェック。問題ないものには認証マークを付与している。対する日本の問題点は何なのか。

眞里谷「これからお話しするのは、仮定の話です。ストレートに言ってしまえば、当時のJADAの制度では万が一の際に、結果を隠すこともできてしまいます。例えば『この製品は大丈夫』と認証マークを付与したのに、その製品を使ったアスリートから禁止薬物が検出されたらどうしますか? アスリートのドーピングを公開する場合でも、製品の認証を取り消す場合でも、いずれにしても信用が失われますよね。同一の機関が利益相反ともいえる業務を行っている限り避けられない問題です」

▲インフォームドチョイスのマークが入った製品。安心の証だ

現在はJADAサプリメント分析認証プログラムも制度の見直しがなされ、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が「ドーピング通報窓口」専用サイトを開設するなど改革が進められている。疑問を持ったらとことん向き合うDNSの姿勢が現状の体制を動かしたのかもしれない。一方、インフォームドチョイスはどうなのか。

眞里谷「日本ではあまり知られていませんが、『インフォームドチョイス』は世界でもっとも流通している認証プログラムで、なんといっても検査精度の厳しさがピカイチです。初めて認定を受ける際には、1つの製品に対して製品サンプルを3つの製造単位から5個と、工場の審査書類を提出します。さらに認定を受けたあとも毎月1回、市場に出回っている商品からランダムに抜き取り検査が行われるんです。検査結果はすべて公開されています」

発売時に1回サンプルを提出したらその後の検査はなく、違反薬物が検出されない限り結果の開示がされないJADA。選手に安心して使ってもらえるよう、安全性を担保するという使命を全うするべく、国内のサプリメントメーカーとして初めてインフォームドチョイス移行へ踏み切ったDNSの強い思いがある。

岡先「もしかしたら一般の方には大したことないように感じられることであっても、24時間365日、世界の舞台で戦うアスリートにとっては大問題であることはよくあります。その最たるものがドーピングです。禁止されている薬物は200種類以上。意図的なドーピングは論外ですが、『風邪を引いたから風邪薬を飲む』という何気ない行動が、きちんとチェックしなかったばかりに、競技人生を左右してしまうこともあるんです。極限状態で戦う選手たちに余計な心配をさせたくないですから」

そして、食品としては健康に害を与えることのない安全なものが、必ずしもアンチドーピングに対して安全であるとは限らない。さらに200を超える禁止物質には、特定の成分を摂取すると体内で変異して生成される成分もあるという。インフォームドチョイスは、そういった禁止薬物生成の可能性がある成分が含まれている製品に対しては認証マークを付与しない。スポーツ界のドーピングに対する認証チェックは、食品のものとは全く別。DNSはおいしさを追い求めつつも、徹底した品質管理を行っている。

岡先「世界的に『きちんと認証機関でチェックを受けたサプリメントを使いましょうね』と示されているにもかかわらず、日本は制度も認識も遅れていると言わざるを得ません。はっきり言ってしまえば、厳しい検査を定期的に受けないのはスポーツサプリメントを扱うメーカーの姿勢としてあり得ないと考えています。私たちは最善を尽くしたいんです。自ら厳しい環境に飛び込んだわけですが、この選択は間違っていなかったと思います」

取材・文/松川亜樹子

取材協力
株式会社ドーム
社長室 サプリメント事業部
部長 外山裕之氏
開発チーム チームリーダー 眞里谷慎司氏
戦略チーム チームリーダー 岡先聖太氏