プロテインがおいしくなった秘密① 時代の最先端を行くDNSに直撃取材 第1回

『プロテインはおいしい』という常識を作ろう

「軽くシェイクすればダマにならず溶ける」「フレーバーは選びきれないほど豊富」「体づくりのための投資だと思えば高くはない」なのが常識となっているプロテイン。しかしひと昔前は「溶けない」「おいしくない」「高級品」だった。おいしいプロテインを日本に広めたパイオニア、DNSを直撃取材。当時のことをサプリメント事業部部長の外山裕之氏が話してくれた。

  
外山「弊社はもともと、テーピングをアメリカから輸入してチームに売っていたんです。当時、日本のテーピングは1本500円で、アメリカは1本100円程度。創業当時のメンバーはみんなアメリカンフットボールの経験者だったので、肉体的な部分も金銭的な部分も、アスリート(ここでいうアスリート=もっと良くなりたいと自分で自分を鍛える人のこと。スポーツ選手に限らない)の負担を軽減したいという思いは同じでした」

指先から足の先まで、全身を怪我する可能性があるとも言われるフィールド上の格闘技、「アメリカンフットボール」。怪我防止のため、試合はもちろん練習時にも、あらゆる関節にテーピングを巻くのだ。しかしテーピングが高いからと巻かないチームメイトがいた。当然ながら怪我をするリスクが高まってしまう。アメリカはもっと手軽に買える。ならば日本もそういった環境を作ろうと動き出した。

外山「私が入社したのは1998年、社員数は7人でした。『アスリートのためになることをしよう』という思いを持ってテーピングやアンダーアーマーの輸入販売を手掛けていて、ついにサプリメントにも取り組むことになったんです。ただ、法律の違いがあってこれまでと同じようには輸入販売ができず。結局、全くなにもないところから原料を輸入して国内で作ることになりました」

世界各地のホエイプロテインの原料メーカーに直接連絡をし、見積りを取る。原料を加工してくれる日本国内の工場を探す。タンパク質の含有量をどのくらいにして味はどうするのか、パッケージはどうするのか。食品の法律はどうなっているのか。模索の日々が始まった。

外山「まずい、泡立つ、高い、そう言われがちな日本のプロテインを、おいしい、泡立たない、適正価格で高品質、にしたかったんです。いくつか参考にしましたが、一つはアメリカで一番人気のあったデザイナープロテインという製品を取り寄せてモデルにしました。こういう製品にしたいんですと工場の方に説明するのに、現物を取り寄せました」

当時は、ようやくインターネットが普及し始めたころ。製品を取り寄せるのも苦労があった。

外山「その間にパッケージとなるボトルを台湾から輸入しました。そうそう、インターネットで探して見つけたんですけど、当時はインターネットも普及し始めのころでした。英語と日本語を使って電話してメールして。けっこう大変でした(笑)。ボトルに貼るラベルも最初は私がパワーポイントでイメージを作りましたね」

模索の末に完成した初代「DNSホエイプロテインG+」

外山「『こういう製品にしたいんです』というのを工場の方にお伝えして、工場から『できました』とサンプルが届くんですが、一度の試作では望んだものに仕上がりませんでした。味も、溶け具合も泡立ちも。何回も作ってもらって社員みんなで試して。これが一番近いんだけどちょっと甘いとか泡が立ちすぎるとかいったフィードバックを工場に返して。また作ってもらって試飲して……というのを繰り返しやりました。みんなで考えて、みんなで意見出し合って。振り返ってみれば全くのゼロから2年間苦労して製品化したわけですが、大変だったけれども楽しかったですね」

アメリカの大学に留学していた経験、帰国後に個人輸入でサプリメントを取り寄せていた経験、なによりも「もっとアスリートを取り巻く環境を良くしたい」という思いが外山さんをつき動かした。

外山「大事なのはパッションです! いいものを作れば売れるという確信がありましたし、早くお客さんのもとに売りに行なって、良さを伝えたかったんです。学生にも日常的にごくごく飲んでもらえるように、価格もアメリカ基準の1㎏3000円くらいまでに抑える目標があって。結局は吸収効率と他社との差別化を考えてグルタミンペプチドとホエイペプチドを入れたので1㎏4800円で発売したんですけどね。ただ、国内メーカーはアルミパウチされた製品が1㎏6450円くらいが平均というなか、ボトルに入っていて安い、成分も文句なしという衝撃的な一品に仕上がったと思っています」

ボトルのカラーは「パッションレッド」を採用。何度かリニューアルを行なった現在のDNSにも受け継がれている。

外山「他社さんは『赤い悪魔』と呼んでたとか呼んでないとか(笑)。開発もパッション、買ってもらうための営業もパッション。とにかく情熱をもって向き合うのが私たちのスタイルです。営業では単純に『こんな商品あります』と売ってもしょうがないと思っているので、基本的に講習会を行なうんです。そもそも運動をする人にはどんな栄養素が必要なのか、普通の食事には何が足りないか。強くてでかい体を作って世界で戦おうぜ、と。それで最後の最後に『こんな製品も売ってるんで』とDNSプロテインを出す。全員が見ている目の前で水を入れたピッチャーに粉末を入れて、軽くかき混ぜて『できました~! ではみなさん試飲してみてください』とやる。プロテインの溶けにくさを知っている人には『こんなに簡単に溶けるの⁈』と驚かれましたし、まずさを知っている人には『こんなにおいしいの⁈』、存在を知らなかった人も『鍛えるなら飲んだほうがいいな』と。爆発的に売れました(笑)」
(この項続く)

取材・文/松川亜樹子

取材協力
株式会社ドーム
社長室 サプリメント事業部
部長 外山裕之氏
開発チーム チームリーダー 眞里谷慎司氏
戦略チーム チームリーダー 岡先聖太氏