開脚ってできたほうがいいの?【長畑芳仁のストレッチの教科書 第5回】

開脚ができれば健康になるわけではない

昨年、「開脚」が大きな話題となり、書籍を中心にブームになりました。それだけ「開脚ができるようになりたい」と思う人が多いのでしょう。

開脚そのものは、人が生活していく上で「できたほうがいい」というものではありません。開脚ができるようになったからといって、健康になるわけではないです。それは趣味の領域のものだと思います。男性が「バック転をやってみたい」と思うのと同じようなものです。開脚ができるようになって、またバック転などができるようになって、それで達成感を得られるのは、非常にいいことだと思います。

開脚といえば、お相撲さんの伝統的な準備運動でもあります。ただ、それは「股割」の柔軟性が高いだけであって、他のパーツの柔軟性が高いかといえば、決してそうではありません。お相撲さんは股割はできますが、実際にストレッチをしてみると、けっこう硬いパーツも多いです。

ただ、相撲などの競技におけるパフォーマンスでは、足を大きく開けるというのは一つの利点になります。足が大きく開くということは、土台の安定性につながります。また、股関節の柔らかさは、四股の美しさを演出します。足を高く上げる横綱の土俵入りには芸術性が感じられます。股関節が固く、低い四股しか踏めないようでは格好がつきません。土台の安定性、四股の美しさ、足を高く上げられる芸術性。相撲おいて、股割りは重要な意味を持っているように思えます。

相撲以外の格闘競技でも、開脚ができる選手は少なくはありません。開脚は股関節の柔軟性にはプラスに作用します。生きるか死ぬかの世界に身を置いている格闘競技者は、可動域をフルに使えるようにしておく必要があるのでしょう。

長畑芳仁(ながはた・よしひと)
1960年、大阪府出身。 特定非営利活動法人日本ストレッチング協会理事長。日本体育協会認定アスレティックトレーナー。 帝京大学講師。早稲田大学教育学部卒業、順天堂大学大学院体力学専攻修了。 2001年「すとれっち塾戸田公園店」開設。専門分野はアスレティックトレーニング、スポーツ科学、アスレティックリハビリテーション。リコーラグビー部など、多数の社会人・大学チームのストレングスコーチ、および日本代表ボートチームのフィジカルサポートなどを務める。「ストレッチまるわかり大事典」(ベースボール・マガジン社)「アクティブBODYストレッチ」(日東書院)など著書多数。
日本ストレッチング協会HP