頸椎に適切なアプローチとは【スペシャリストに訊く・宮澤資長②】

期待できる効果は


せたがや整骨院 宮澤資長院長

スポーツ選手やトレーニング愛好家から支持を受けている宮澤先生。なんとなく不調だったり、いつもまでも続く痛みを抱えるスポーツ選手は非常に多いが、頸椎に適切なアプローチをすることで症状の改善が期待できるという。前回に引き続き、姿勢のプロフェッショナルである宮澤先生に話を伺う。

 
 

Q.頸椎にアプローチをすることでどのような効果が期待できるのですか?

陸上競技などタイムを計る競技ではタイムに表れます。またウエイトトレーニングのような種目では扱う重量となって効果が表れます。感覚的なものとは違ってハッキリと数字に出ます。そして肩が痛くてベンチプレスができなかったとか、首が痛かったりしてトレーニングが十分にできなかったりとか、そのような選手を施術していくと、施術するごとにパフォーマンスが回復していきます。さらに自己ベストを更新した例が数多くあります。

もう少し具体的に説明しましょう。元々ベンチプレスで120kg挙げていた人がいるとします。しかしなぜか、ここ1年ほどは調子が出ずに、補助が付いても80kgくらいしか挙げられなくなってしまった選手がいるとします。こんな選手にこそ僕の施術を試してほしいんですね。低迷していた選手は、大体5回から10回程度の施術でパフォーマンスが戻り、再び120kgを挙げ、さらには自己ベストを更新した例がありました。最近でも相撲をされている選手が5回の施術でMAXを取り戻しましたね。

Q.頸椎というとデリケートな部位です。

僕の施術の基本は「低刺激・短時間」という安全なものです。カイロプラクッティックというと関節をボキボキバキバキ鳴らすイメージもあるかと思いますが、一言にカイロプラクティックとはいっても流派によってアプローチの仕方はさまざま。それに厚生労働省からは関節を鳴らすような頸椎に回転伸展操作を加えるスラスト法は患者の身体に損傷を加える危険が大きいため禁止する必要があると明記されています。そのような危険な施術は行わないので安心してください。

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Q.短時間・低刺激というのは驚きです。

実際に「短時間・低刺激」のほうが施術の効果があるんです。確かにマッサージのような施術は長いほうが効果があるようなイメージがありますよね。昔は僕も疲れが溜まっている患者さんに「30分コースではなく60分のコースにしましょう」とか、仕事やスポーツで頑張っている患者さんには「自分にご褒美してください」と長い施術をおすすめしたこともあります。

しかしアメリカに行って勉強をしたときに気付いたんですが、たとえば胃の手術をするじゃないですか。本当にうまいドクターは手術をしている時間が短いんです。逆に慣れていないドクターほど手術の時間が長い。これは白内障の手術でも同じ。そして手術時間が短いほど患者さんの負担も小さいわけです。

もっと極端にいえば果物や植物を触るとどうなりますか? 触れば触るほど弱っていきますよね。アジの開きであっても同じです。下手な板前ほど多く触り、素材を弱らせてしまいます。しかし上手な板前さんはアジをさばいた後でもアジは活造りとして動いています。
これを施術に当てはめると人も同じ。揉めば揉むほど細胞を潰していくことになるんですね。長く強い刺激では組織を攻撃してしまう。だから、いかに短時間・低刺激で患者さんを治していくか

Q.勇気のいる方向転換ではなかったですか?

従来からの施術を「辞める」というのは、正直、とても勇気のいることでした。従来は痛みを取ることに一生懸命で、ストレッチをしたり、温めてからマッサージのような手技をしたりしていました。けれど、それってその時の症状を抑えるだけのものですよね。

僕が首を傷めたときにも病院でも過労かストレスと言われる。そして痛みという症状があったら痛み止めを出しましょうという話で終わり。でもこれって痛みを止めるだけですよね。根本的な解決というのはそこではないんです。でも痛みの原因はわからない……。そこで「よく眠れる」というのが一番大事なことだと、自らの身をもって気付いたんです。

しかし、元々は鍼が大好きだったんですよ。そして鍼を辞めたら仕事ができないくらいだと自分では思っていました。でも鍼も含め、それまでの施術をすべて辞めることができたのも自分自身がすべて体感できたからです。

取材・文/立華徳之真

宮沢 資長(みやざわ・もとなが)
せたがや整骨院・院長。柔道整復師、鍼灸師、(株)メディカルワン代表取締役。日本体育大学を卒業後、整形外科・整骨院での研修を積み、西洋医学のエビデンスと東洋医学の思想を融合しカイロプラクティックを学ぶ。東京都世田谷区にアスリートをベストパフォーマンスへ導く専門整骨院を開業し、クチコミだけで常に予約待ちの状態が続き、プロスポーツ選手や著名人を始め、どこに行っても良くならなかった患者が全国各地より来院している。
せたがや整骨院:http://www.vitaltokyo.com/

 

インタビュアー
立華徳之真(たちばな・のりのしん)

パフォーマー兼パフォーマー専門の美容家・治療家。陸上競技・体操・バスケットボール・フィットネス・トレーニング・ジュニアスポーツ・体育施設運営管理・サプリメント・スポーツボランティアなどの専門資格を所持。また柔道整復師・美容師・登録販売者・診療情報管理士として美容健康領域および出版・映像・イベント・教育・ITなどの実務をこなす。ほか殺陣やアクション、神経系コーディネーションや能力開発などの分野で活動しているハイブリッド。
AVEX Entertainment:http://athleteclub.net/norinoshin_tachibana