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お米を中心とした食事で減量も増量もスムーズにする「食アススタイル」とは!?




1食のうち6割はお米を食べる

筋肉を付ける、あるいは筋肉を保ったまま減量する際に推奨されることが多いのが、高タンパクで炭水化物を抑えた食事。筋肉を付けて増量したい人にも、ダイエットをしたい人にも嫌われることが多い炭水化物だが、その代名詞的な存在であるお米をメインとした食事を推奨しているのが一般社団法人・食アスリート協会が提唱する「食アススタイル」と呼ばれる食事法だ。

お米のご飯と、それ以外のおかずや味噌汁などを6:4の割合で食べるという「食アススタイル」
「おすすめは具だくさんの味噌汁と、何かおかず一品という組み合わせです。このセットであれば作る方も食べる方も負担になることがなく続けられると思います」と語るのは、食アスリート協会の理事であり主任講師でもある公認スポーツ栄養士の馬淵恵さん。「食アススタイル」は、学術的な知見を持つ栄養士などの専門家と、実践するアスリートやトレーナー、それに実際に食事を作る親や調理師が協力して作り上げたもの。今流行りの低糖質な食事とは正反対のように見える食事のスタイルだが、実際に多くのアスリートが成果を上げているという。

© hanabiyori – Fotolia

プロボクサーでWBC世界ライトフライ級王者である木村悠選手もその1人。食事を「食アススタイル」に変えたことで、食事の量はそれまでの3倍近くに増えたが、10日間で1.5kg体重が減り、体調や肌の張りなども向上。その後、世界チャンピオンに輝いた。スタミナや筋力、回復力が以前よりアップし、何よりもメンタル面でのタフネスが向上したという。

同じくプロボクサーでWBC女子世界ミニフライ級、WBA女子世界スーパーフライ級、WBO女子世界バンタム級、WBA女子世界フライ級の4階級を制した藤岡奈穂子選手も「食アススタイル」で大きな成果を実感しているという。ウエイトコントロールで階級を上下し、4本のベルトを巻いた藤岡選手が「食アススタイル」の食事を導入したのは最も重い階級であるバンタム級の王者となった頃。1日2合のお米を食べる食事に当初は戸惑いを覚えたが、初防衛戦に向けた走り込み合宿で早くもその効果を実感したという。

「朝と夕方に7kmずつ走る生活を1週間続けるハードな内容なのですが、3日目4日目になってほかの選手がどこかしらを痛めたり、疲れで体が動かなくなってくる中でも何の問題もなく走ることができ、男子選手に勝つこともできました。試合でも、事前には勝てるかどうかわからないと言われた相手に勝つことができ、すごく自信になりました」と語る藤岡選手。今年10月の試合はライトフライ級となるため、減量が必要となるが、これまで通り「食アススタイル」の食事で量を調整することで挑むという。

「スポルテック2017」では食アスリート協会のブースにてトークショーを行い、自らの食事内容にとその成果について語った藤岡奈穂子選手。
トークショーの後には参加者の構えるミットに向かって鋭いパンチも披露

お米を中心の食事が良い理由

ほかにも多くのアスリートや、一般のスポーツに取り組む人たちが実践し、大きな効果を実感している「食アススタイル」だが、なぜお米を中心とした食生活が良い成果につながるのだろうか?
食アスリート協会が重視しているのは食事をトレーニングとしてとらえ、「食べる力」を育むこと。それによって、「コンディショニング力」「サイクル力」「食戦力」「リカバリー力」「成長力」の5つの力を向上させることができるという。簡単にいえば、お米を多く食べることで体の代謝や消化吸収能力を高め、その上で必要な食事量を計算し、増量や減量に挑むことで体調を維持しながら効率良く体重をコントロールできるということだ。

「昔から6:4の割合でお米を食べると良いということは言われていましたが、実際にその食事を実践しているアスリートを見ると、良い結果を残していることが多い。そのことの裏付けを探っているうちに、現在の食事スタイルに行き着きました」と語るのは前出の馬淵さん。「お米には炭水化物だけでなくタンパク質も含まれているので、単にエネルギー源というだけでなく体作りにも役立ちます。私たちがおすすめしているのは、そこにビタミンやミネラルを豊富に含む雑穀を加えること。そうすることで、お米はマルチな栄養を含んだ食品になります。下手にサプリメントを摂るよりも、お米を食べるべきだと思います」
多くの人にとって調理しやすく、市販のパンなどに比べて添加物などが少なくて済むことも、同協会がお米を推す理由だ。普段の食事の中でも忌避されることが多いお米などの炭水化物だが、それほど毛嫌いする必要はないのかもしれない。

取材・文/増谷茂樹