すべての人に移動の自由を! トヨタが歩行用ロボットを開発




「トヨタが歩行用のロボットを発表する」と聞いて、「ついにトヨタもASIMOのようなロボットを出すのか!」と思い、発表会に足を運びました。

そこで目にしたのは下の写真のマシン……。

な、なるほど。“歩行用”ってそういうことね……。

誰も“人形”とも“二足歩行するロボット”とも言ってないですもんね。(中央の青い服を着た女性も、その後の白衣の男性もロボットではありません)

ようするに、歩行が不自由な方が自然な歩行を習得できるよう、リハビリテーションを支援するロボットです。“歩行用”とは「歩行ができるようになるための」ロボットという意味ですね。

ロボットの名前は「ウェルウォーク WW-1000」で、2017年秋よりレンタル事業が開始される予定です。

膝の部分には、適切なトルクを検知して発揮するモーターが搭載されていて、足の運びは上からつながっている前後のケーブルでサポートする仕組み。トレッドミルのようにその場で歩行のリハビリができます。

前面にあるモニターには、自分が足を運ぶべきポイントも表示させることができ、その目標に向かって足を持っていくことで、適切な歩行のリハビリができるそう。

気になるのは、なぜ自動車メーカーであるトヨタがこうしたロボットを作ったのかということ。
これについて発表会では、トヨタとしては「すべての人に移動の自由を」というビジョンを掲げており、それに基づき歩行が不自由な人が少しでも自分の足で歩けるようにとの思いで、このマシンを作ったとのことでした。また、同社は自動車を組み立てる工場などで使用されている産業用ロボットの技術を持っているため、複雑な動きをするアームの制御などは多くのノウハウがあるのだとか。そのノウハウを、人の足を適切に動かす制御に活かしているようです。

「移動の自由」という発想が、自動車メーカーらしいと感じましたが、こうした技術が導入されることで、1人でも多くの人が自分の足で歩けるようになるのは素晴らしいことだと思います。普及が進むことを期待しています。

取材・文/増谷茂樹