スパルタンレース、ハードだからこそ成立する価値【マッチョ編集長のマッチョコラム第24回】




そこには人としての本能的な部分に訴えかけてくる魅力があるのかもしれない。既報の通り、日本で2度目の開催となった「リーボック スパルタンレース」。2日目の10月22日のレースは台風のため中止になったものの、初日は悪天候にも関わらず4443名もの人が参加。出走者全員が泥まみれになるハードな競争が繰り広げられた。

「こういう尖ったイベントは、フィットする人にはフィットするんです。『万人受けしない』ところが、イベントの成功につながるのではないかと思いました」

クロススポーツマーケティング株式会社・代表取締役社長の中村考昭氏はスパルタンレースの人気をこのように分析する。レース中に立ちはだかる障害物を乗り越えるには常日ごろからのトレーニングが必要。また、「走る」のみならず、「跳ぶ」「掴む」「登る」「潜る」など、ありとあらゆる身体動作が要求される。ターゲットとしているのは18歳以上の男女で、複数のフィットネス、トレーニングを週に2、3回以上行っている人、トレーニングに対する意識が高い人、またはそういったライフスタイルに興味がある人など。かなり人を選ぶレースといえる。

だからこそ、闘争意欲やチャレンジ精神など、人のDNAに組み込まれたある種の欲求を刺激するものが、そこにはある。日本においては80年代なら「風雲! たけし城」、90年代からは「筋肉番付」や「SASUKE」など、視聴者参加型のスポーツバラエティは人気を博し、またそういった映像コンテンツは海外に輸出されてもいった。

DNAを刺激するコンテンツをテレビのなかで創造していけば「風雲! たけし城」や「SASUKE」などになり、リアルなイベントとして突き詰めていけばスパルタンレースになる。スパルタンレースの根底にあるコンセプトは、人は選ぶものの、時代や国籍は選ばない。いつの時代にも、どの国にも、ある一定のニーズは存在するのだろう。ハードだからこそ成立する価値。スパルタンレースは新たなスポーツムーヴメントの先駆けになるか。