ちょっとマニアックな話をします【筋トレおやじ鼎談①】




本誌でもライターとして活躍する木村さんと、トレーナーの清水さん、それに本誌編集長の藤本という同世代の3人が、自分たちの経験から“おやじ”世代のトレーニングへの取り組み方や、トレーニングを巡る今昔を振り返る鼎談。初回から話は脱線し、まさかの“市民体育館あるある”話に……。
聞き手/VITUP!編集部

 
藤本 社会人になってからトレーニングをしようと思うと時間の捻出が大変だと思うのですが、皆さんどうしているんですか?

木村 私はフリーの立場なので、比較的時間の調整はしやすいのですが、できるだけ朝早く起きて朝のうちに行くようにしています。今はゴールドジムなので7時からやっていますが、以前中野の区民体育館に通っていたころは9時にならないと開かないので不便でしたね。

木村卓二(きむら たくじ)
本業はTVディレクター。コーチ経験を持ち、ライターとしても関わるラグビーを中心に、格闘技やサッカーなど、各種競技の中継に携わる。また、複数の言語に通じ、ラグビー日本代表スクラムコーチの通訳(フランス語)、FIFA W杯ブロードキャストリエゾンオフィサーなども歴任。ラグビー日本代表や世界各国のS&C(Strength & Conditioning)コーチたちに感銘を受け、自らも究極のトレーニングを求める研究を開始。NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)認定パーソナルフィットネストレーナーの資格を所持する。

藤本 中野の区民体育館に行かれてたんですか? 私もたぶん同じような時期に行っていました。あの立ってやるインクラインプレスがあるところですよね?

木村 そうそう! 物干し竿の支えみたいなラックがあって、その上にバーベルを置くので限りなく直立に近い姿勢でやるインクラインプレスですね。ありました。

清水 それ、同じものが私が通っていた新潟の市民体育館にもありました(笑)。

藤本 そうなんですか? これ、市民体育館あるあるなんですかね?

木村 今見ない器具ってほかにも結構ありましたよね。ベンチプレス台にセーフティバーがないのはもちろん、バーベルを置くラックの幅が狭くて、非常にサポートしにくかったり。

清水 それも、同じものが新潟市民体育館にもありました。マシンはだいたいセノーで。

藤本 確かに。だいたいセノーでしたね。

清水 私はそれが当たり前だと思っていたので、初めてスミスやストライブのマシンを見た時は「何だこりゃ? セノーじゃない」って思いましたよ。ちなみにストレッチエリアは学校の体育館にあるようなマットじゃありませんでしたか?

清水康志(しみず やすし)
日本ボディビル・フィットネス連盟2級指導員。2012年に出場したボディコンテストをきっかけに、トレーナーとして活動開始。30歳を過ぎてから本格的なトレーニングに取り組んだ自身の体験をもとに、「トレーニングを始めるのに遅すぎるということはない」「安全に正しく取り組めば必ずよい結果が出せる」をモットーに幅広く活動中。

木村 そうでした。

藤本 そう。微妙にクサいやつ。

清水 昔のトレーニングルームって、だいたい日の当たらないところにあるからクサくなっちゃうんですよね。で、たいがい器具もサビている。

木村 そうですね。中野体育館はサビてしまった器具が中庭みたいなスペースに打ち捨てられていましたね。

藤本 そうそう。そんな場所がありました。トレーニングルームはこの辺にディップスの台みたいなのがあって、この辺がベンチプレスでしたよね。(ホワイトボードに見取り図を描きだす)

木村 そうです。壁際にスウェーデン体操用のバーが並んでいるのがあって、ラットマシンがこの辺にありました。あと、ほかでは見たことのない手首を鍛えるのだと思われるマシンがこの辺の壁に埋め込まれてましたね。

藤本 よく覚えてますね。この辺にエアロバイクがあって、すごくお腹の出たおじさんがものすごい勢いで漕いでましたよね。

木村 ああ! いましたね。そのおじさん、確かすごく堅いお仕事をされてたはずですよ。

清水 ついに共通の人が出てきましたね(笑)。ということは、お2人は遭遇している可能性が高いですね。

藤本 確実に同じ時間に同じ場所にいたはずですね。それから10数年経っていますが。

木村 少し強引に時間の話に戻しますと、中野区民体育館は夏休みの間だけ7時から開館してくれるんです。その期間は早くトレーニングができるので、とても助かっていましたね。朝のうちにトレーニングを済ませられると、その後の予定がスムーズなので。

藤本 わかります。私も最近、朝ジムに行くようになったのですが、人も少ないし同じメニューをこなしても人の多い時間に行くより短時間で終わりますよね。

藤本かずまさ(ふじもと かずまさ)
本誌編集長。自らもボディビルコンテストに出場する実践派。

木村 人が多い時間ですと、何となく殺気立ってる人もいるじゃないですか。何か対抗心を燃やしてきたり、目が合うと睨まれたり。そういう雰囲気が苦手だというのもありますね。

清水 私も時間は自由が効く方なので、朝ではなくても昼間の人が少ない時間に行きます。せっかくジムに行ったのに、トレーニングしている時間より待っている時間が長かったりするのはもったいないので。それと、我々のように自由が効く人間が昼間に行くことで、少しでも夕方以降の混雑が緩和されればという思いもあります。

藤本 ただ、多くの人は昼間の時間帯は行けませんよね。清水さんは会社員だった頃はどうしていたんですか?

清水 普通に混んでいる時間に行っていました。その時間ですと、マシンが空いていなかったりして、自分がやりたい種目ができるとは限らない。ベンチプレスができなかったら何の種目で補えばいいかな? と考えるようになって、自分の知識が増えましたね。補う種目を知っていれば、ベンチプレスにこだわる必要がなくなりますから。

藤本 私も最近はジムに居られる時間が限られるので、種目へのこだわりを捨てました。そうすると、筋肉に入る刺激も変わるので、結果的に良かったと感じています。時間のない人は、トレーニングメニューの幅を広げると、新たな刺激にもなるかもしれません。
(つづく)