施術は「短時間・低刺激」【スペシャリストに訊く・宮澤資長③】

「カイロプラクティック」について

Q.短時間・低刺激の施術ですが患者さんからの評価は？

やはり長く施術をしていたときは「先生、効いたわ～」とすごく喜んでくれる患者さんが多くいました。そして僕自身もそれで「治った」と思っていました。しかし、良くなったと言う患者さんの検査のデータを観察してみると、まったく変化がないんです。データに変化がない以上は「治った」とは思ってはいけないとその時の僕は強く感じたんです。

ほとんどの場合は患者さんが「治った」「楽になった」と言えば、そこで治療の目的は達成じゃないですか。でもその患者さんの言葉も大切ですが、もっと重要なのは医学的科・学的根拠に基づく客観的なデータ。RM(※1)、MMT（※2）、サーモグラフィーなどのデータが良い状態を示したときに、はじめて「良くなったね」と言えると思うんです。

僕自身はこのことに気付いて本当に良かったと思っていますし、気付けたからこそ今の治療法を確立することができたんです。だってどんな手術だって必ず検査があって手術の方針も決まるじゃないですか。僕の施術はまったくそれと一緒なんですね。しかし、いかに短時間・低刺激で治療効果を引き出していくか。それを追求するのは茨の道ではありました。

（※1）RM…その人が1回で挙げられる最大重量を示す単位。120kgのベンチプレスが1回挙上できる人の１RMは120kgとなる。
（※2）MMT…徒手筋力テスト法。医療機関において人の筋力を図る標準的なテスト方法。その評価は0~5の6段階で表す。

Q.宮澤先生にとってのカイロプラクティックとは？

僕は柔道整復師と鍼灸師という国家資格を持って活動していますが、カイロプラクティックについても相当勉強してきました。

しかし日本でのカイロプラクティックが入ってきた歴史から見てもおわかりのように、カイロプラクティックは国家資格ではないため、医療機器を使うなど、医学的なアプローチをすることができません。またある時期には「誰でも教えます」というカイロプラクティックのセミナーが多くあり、素人であるのに施術家・治療家と名乗る方が多く現れてしまいました。

セミナーを受けただけのレベルの人にレントゲンや検査の話をしても、とても難しくて理解することはできないし、実際に患者さんのレントゲンを見る機会もほとんどない。よって施術にあたっては患者さんの脚の長さを見て判断する…というレベルがカイロプラクティックの実情なんですね。しかし、本当のカイロプラクティックはそうではないんです。本当のカイロプラクティックは人体における原理原則を守って施術するというのが徹底されており、アメリカでは必ずデータ検査をしてからアジャストメントをするんです。

だからこそ僕の施術ではデータを重視しているし、またカイロプラクティックのそんな原理原則にもこだわっているんです。そのために今も年に2回、アメリカの一流大学を卒業されたカイロドクターを海外からお呼びして、カイロプラクティックの技術に対しても品質管理に努めています。

カイロプラクティックが軸なのに整骨院ですか？

僕の整骨院は、そのものズバリの整骨院を名乗っています。それに本来は保険で『骨折・捻挫・脱臼・打撲・挫傷』の施術を行うこともできるんです。でも慢性的な肩こりや腰痛では保険は使えません。保険施術には制約があるのです。そして保険が適応にならない慢性的な肩こりや腰痛の原因はみんな違います。なので一人一人に対してオーダーメイドの施術を心掛けています。これも患者さんを本当の意味で治したいからなんですね。

アメリカでは日本の国民保険のような制度がないため、医療費がものすごく高いんです。しかしアメリカのカイロプラクティックでは、ワンアジャストすなわち1回の施術が高額にもかかわらず、たくさんの人が受診しにきていました。僕はアメリカのクリニックで見た患者さんが治っていく姿を、それを日本で実現するために今のやり方に変えたんですよ。こんな良い治療法が広まらなかったらおかしい、とね。当院は電話番号も非掲載で患者さんは紹介された方のみを予約で受け付けておりますが、おかげさまでクチコミだけで予約が満杯です。

取材・文／立華徳之真

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