筋トレをして、何を目指しているんですか?【筋トレおやじ鼎談③】




本誌でもライターとして活躍する木村さんと、トレーナーの清水さん、それに本誌編集長の藤本という同世代の3人が、自分たちの経験から“おやじ”世代のトレーニングへの取り組み方や、トレーニングを巡る今昔を振り返る鼎談。今回はトレーニング中のこだわりから、トレーニングを始めたきっかけまで。
聞き手/VITUP!編集部

木村 みなさんはジムで自分が使いたい器具やマシンが埋まっていた時は空くまで待つ派ですか? 待たない派ですか?

清水 私は待たない派ですね。違う種目をやるか、あるいは違うマシンに行くかです。フロントプレスをやろうとしてマシンが埋まっている状況だったら、肩の別種目をやるか、あるいはレッグプレスのマシンでフロントプレスやってしまうこともあります。

藤本 なるほど。知識がある清水さんだからこそできることかもしれません。

木村 昔の中野体育館だとマシンが少なかったので、ベンチプレスなんか3人くらい順番待ちで並んでいましたからね。

清水 そういう時に3人でうまくローテーションで回せればいいんですけどね。インターバル中にほかの人に交代するとか。私はジムでも「インターバル中やってもいいですか?」と聞くことがあります。自分がやっている時に待っている人がいれば「インターバル中、使いますか?」と聞きます。

清水康志(しみず やすし)
日本ボディビル・フィットネス連盟2級指導員。2012年に出場したボディコンテストをきっかけに、トレーナーとして活動開始。30歳を過ぎてから本格的なトレーニングに取り組んだ自身の体験をもとに、「トレーニングを始めるのに遅すぎるということはない」「安全に正しく取り組めば必ずよい結果が出せる」をモットーに幅広く活動中。

藤本 最近、インターバル中にスマホを見ている人も多いですよね。

木村 私も使っていますね。記録ツールとしても使いますし、バーベルを上げ下げするタイミングをはかるためにメトロノームのアプリも入れています。あとはインターバルの時間を計ったりとか、トレーニングの際には必須アイテムになっていますね。

清水 そういう使い方をしている人もいることを知って、スマホをいじっている人に気軽に声をかけるのはやめました。自分は、そういうのは疎くてよくわからないのですが。

木村 ジムに設置されている時計が電波時計なので、たまに時間を調整するために秒針が止まることがあるんですよね。以前はジムの時計でインターバルを計っていたのですが、その途中に止まっていたことがあって、それからはスマホで計るようにしています。

藤本 インターバル時間は結構きっちり計る派なんですね。

木村 そうですね。結構重視しています。上げ下げするタイミングも、できるだけコントロールするようにしています。たとえば「4-0-X-0」という設定で行ったりします。4秒で下ろして、0秒で切り替えしてMAXのスピードで上げる。上でも維持せずに0秒で下ろすという意味です。

木村さんがインターバル計測用に使っているアプリ

撮影/Aki Nagao
木村卓二(きむら たくじ)
本業はTVディレクター。コーチ経験も有するラグビーを中心に、格闘技やサッカーなど、各種競技の中継に携わる。また、複数の言語に通じ、ラグビー日本代表スクラムコーチの通訳(フランス語)、FIFA W杯ブロードキャストリエゾンオフィサーなども歴任。ラグビー日本代表や世界各国のS&C(Strength & Conditioning)コーチたちに感銘を受け、自らも究極のトレーニングを求める研究を開始。NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)認定パーソナルフィットネストレーナーの資格を所持する。(写真左端)

藤本 そういうトレーニング関連の情報は、どこで得ているのですか?

木村 主に海外のWebサイトですね。何人か信頼しているストレングスコーチがいて、彼らが発信している情報を基にトレーニングをしています。

清水 私は英語が読めないので、もっぱら石井直方先生の本を読んでいますね。

藤本 みなさんは、どういう経緯でトレーニングを始めたんですか?

木村 私は海外赴任した際に、それこそコックさんもいて、出掛ける時はクルマでというブロイラーのような生活になってしまったことがあって、これはいけないと思ったのがキッカケですね。それまでもスポーツはやっていたのですが、どちらかというと「筋トレでつけた筋肉は偽物だ」という考え方が主流だった時代なので、何となくそう思っていました。

清水 そう言われていた頃もありましたね。私はずっと空手をやっていて、その補助として筋トレはやっていたのですが、空手を辞めた時にこのまま運動をしなくなるのはマズいと思ったので、本格的にトレーニングに取り組むようになりました。今となっては、空手をやっている時からもう少し本気でトレーニングをしておけば、もっと強くなれたかもしれないと思っています。当時から、強い人たちはウエイトトレーニングも本格的にやっていましたが、自分はそこまでの意識はなかったので。

藤本 ウエイトトレーニングをしていると「何を目指しているんですか?」と聞かれることはありませんか?

木村 ありますね。でも、ダイエットしている人に「それは何を目指してるんですか?」とは聞かないじゃないですか。それと同じだと思うんですけどね。

藤本 そうですよね。皆さん色んな趣味を持っているはずですが、それで「何を目指しているんですか?」と聞かれたら困ると思います。好きだから、楽しいからやっているのが趣味だと思うので。筋トレもそれと同じなんですけどね。

清水 私は「ドラゴンボールの悟空を目指している」と言っています。昔は「北斗の拳」と答えていたのですが、女子に引かれることがあるので、最近は悟空にしています。本当は北斗の拳に出てくるトキなんですけど(笑)

(つづく)