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トレーニングが世間に受け入れられるために【髙田一也のマッスルラウンジ 第1回】




優秀なビジネスマンの中にはトレーニングを日常的に行っている人も少なくないとよく言われる。これまでにタレントや会社経営者など多くのクライアントを指導してきたパーソナルトレーナー、髙田一也が「仕事」と「トレーニング」、「社会」と「トレーニング」の正しい関係性を探る。

トレーニング人口は本当に増えたのか

現在、日本のトレーニング人口は全国民の3%ほどと言われています。最近になって、「トレーニングをする人がかなり増えてきた」という声をよく耳にするようになりましたが、僕はその「3%」はここ何年間も変わっていないと思います。

なぜ増えているように感じられるのかといえば、そう感じているその人自身がフィットネス業界に身を置いているからでしょう。今はインターネットの普及で、SNSなどを通じて同じ趣味を持つ人たちとかんたんにつながれるようになりました。トレーニングをしている人の日常に、かんたんにアクセスできるようになったんです。

以前だったらジムで見かけても話しかけることすらできなかった憧れのボディビルダーとも、ネットを介してコントンタクトが取れる時代です。フィットネス人口が増えているように感じられるのは、そういったネットにおけるコミュニティーが盛んになったからかもしれません。

一つの世界に入り込んでいると、時間が経つにつれてその世界が広がっていっているように感じられるものです。ですが実際は、日本で「トレーニング」というものが一般的なものになったのかといえば、そうとは言えないと思います。

ジョギング初心者にフルマラソンの厳しさを語っても引かれてしまう

ジャンルの認知度を上げていくには、その業界と世間とをつなぐスターの存在が必要不可欠だとよく言われます。ことトレーニングに関しては、そういったスターが出現するのは難しいような気がします。

それにはいくつかの原因があります。まず一つ、トレーニング愛好家には「一般的ではない」ことに価値を見出す人が多いように思えます。本当はもっとトレーニングが普及したほうがいいのに、「これは自分だけのもの」と感じがちなところがあるのかなと。

また、テレビで筋肉キャラとして活躍している俳優さんたちの体を見て「まだまだ」「あんなのはマッチョじゃない」など。どうしても張り合ってしまうというか、僕自身も筋肉に対するこだわりが強すぎて、そう思ってしまうことがあります。

トレーニングは突き詰めていけば難しいものであるのですが、比較的、入っていきやすいジャンルだとは思います。「何かができなければ次に進めない」というわけでもありません。重さが上がらなくても、やりつづけることに大きな意味があります。

健康にもなれるし、間違ったフォームでやらない限りはケガもしない。すごく体にいいものなんです。でも、たとえばジョギングを楽しもうとしている人にフルマラソンの厳しさを語っても引かれてしまいます。人口が増えないというのは、トレーニングをやっている人たちの姿勢にも理由があるのかもしれません。

高田一也(たかだ・かずや)
1970年、東京都出身。新宿御苑のパーソナルトレーニングジム「TREGIS(トレジス)」代表。華奢な体を改善するため、1995年よりウエイトトレーニングを開始。2003年からはパーソナルトレーナーとしての活動をスタートさせ、同時にボディビル大会にも出場。3度の優勝を果たす。09年以降はパーソナルトレーナーとしての活動に専念し、11年に「TREGIS」を設立。自らのカラダを磨き上げてきた経験とノウハウを活かし、これまでに多数のタレントやモデル、ダンサー、医師、薬剤師、格闘家、エアロインストラクター、会社経営者など1000名超を指導。その確かな指導法は雑誌やテレビなどのメディアにも取り上げられる。
TREGIS 公式HP