Q.生活の中にストレッチを取り込むにはどうしたらいいですか?【長畑芳仁のストレッチの教科書25回】

A.生活の動きの中で、筋肉が縮むことを意識しましょう。

ここまで解説してきたように、ストレッチにはさまざまな種類があります。本格的に学ぼうと思ったら、それなりの勉強をする必要がありますが、まずは難しく考えず、ストレッチを日常に取り入れることを私は推奨しています。

「ストレッチ」と聞いて一般的に皆さんが想像するものは、「スタティックストレッチ」でしょう。お風呂上がりなどに体をゆっくり伸ばすと、非常に気持ちがいいと思います。無理して伸ばしたり、「体をやわらかくするんだ」と意気込む前に、最初のうちはその気持ち良さを味わってみる、という感覚で十分だと思います。それを続けていれば、体は必ずやわらかくなります。

とはいえ、スタティックストレッチを毎日(あるいは定期的に)行なうのは大変だと感じる人もいるでしょう。そういう人には、日常動作の中に「アクティブストレッチ」(動的ストレッチ)を取り入れることをオススメします。

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第24回でも説明したように、アクティブストレッチは「相反神経作用」の原理を利用したストレッチ。相反神経作用とは主働筋が収縮すると拮抗筋は弛緩するという仕組みで、わかりやすく言えば、裏側の筋肉(伸ばしたい筋肉と拮抗する筋肉)に力を入れることによって、狙っている筋肉が伸びやすくなるのです。

具体例を挙げると、太ももの前面にある大腿四頭筋を伸ばしたいときは、後面のハムストリングスに力を入れるようにします。逆に、ハムストリングスを伸ばしたいときは、大腿四頭筋に力を入れるようにすると効果的です。

立っているとき、片手を壁について体を壁の反対側にひねるようにすると、胸の筋肉が伸びます。ここで「胸を伸ばそう」と思うのではなく、「背中の筋肉を縮めよう」と思うと、神経から胸の筋肉がより伸びるような指令が送られます。

あるいは、手を伸ばして高いところにあるものを取るときに伸ばした手の反対側の脇腹を締めてみたり、大またで階段を上るときに足を上げる筋肉に力を入れてみたりと(お尻が伸びる)、日常のいろいろな動作の中にアクティブストレッチを取り入れることは可能です。

そういう意識を日ごろから持っていると、生活の中で筋肉を伸ばす機会がたくさんあることにも気づいてくると思います。むしろ私たちは、つねにストレッチを行ないながら生きていると言うこともできます。そして、ちょっとした心がけをするだけで、いつでもどこでも体を柔軟にし、脳を活性化していくこともできるのです。
集中力が散漫になってきたときや、リフレッシュしたいときなどに、アクティブストレッチを取り入れると、予想以上の効果を感じることができると思います。

現代の生活は、どうしても緊張などにより筋肉に無駄な力が入ってしまったり、力む時間が長くなることで筋肉が凝り固まったりしがちです。一度硬くなってしまった筋肉は、簡単に元の状態には戻りません。

長畑芳仁(ながはた・よしひと)
1960年、大阪府出身。 特定非営利活動法人日本ストレッチング協会理事長。日本体育協会認定アスレティックトレーナー。 帝京大学講師。早稲田大学教育学部卒業、順天堂大学大学院体力学専攻修了。 2001年「すとれっち塾戸田公園店」開設。専門分野はアスレティックトレーニング、スポーツ科学、アスレティックリハビリテーション。リコーラグビー部など、多数の社会人・大学チームのストレングスコーチ、および日本代表ボートチームのフィジカルサポートなどを務める。「ストレッチまるわかり大事典」(ベースボール・マガジン社)「アクティブBODYストレッチ」(日東書院)など著書多数。
日本ストレッチング協会HP