ジムを変えて気分は転校生です。【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第19回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか?

私事ではありますが、7月からトレーニングするジムを変えました。新しく通い始めたジムのフリーウエイトスペースには、以前このコラムで紹介した、武井壮(本名ではない)、岡本さん(本名ではない)、青マリオ、ターミネーターといった愉快な仲間たちの姿はありません。周りは知らない人ばかりで、転校生になったような気分です。

思えば私は転勤族であり、小学校の頃は3回転校を経験しています。また、高校も中学の同級生が一人もいない学校に進学し、大学も同じ学部には一人も知り合いがいない環境でした。

私の場合、もともと社交的な性格であり、初対面の人と話すことはまったく苦になりません。そのため、新しい環境になって人付き合いで苦労したという経験もありません。唯一困ったのは仙台から青森の学校に転校した直後、先生や友達が話す津軽弁がわからなかったことです。標準語で話すこちらの言葉は通じるのですが、相手が言っている言葉の意味が理解できず、最初の1カ月は会話に苦労しました。

個人的には転校は新しい友達ができるので、ポジティブにとらえていました。ただ、大人になって考えてみると、転校は子供にとってなかなか高いハードルだと感じます。すでに完成されているコミュニティに、よそ者が入っていくことは決して容易ではないからです。

すんなりその環境に入っていくためには、存在を認められなければいけません。学力、運動能力が平均以上であることはもちろん、何か他の人にはない特技を持っていることも重要な要素になります。自分が秀でている部分を示すことで、立場を作っていく。これは子供にとって大変な負担です。

©Andrew Blue – stock.adobe.com

では、ジムの“転校生”はどうでしょう? フリーウエイトスペースの住人たちに自分の力量を示したい……というか、しょぼく見られたくないという気持ちは少なからずあります。もしかしたら、「ジムに行きたい気持ちはあるけど一歩踏み出せない」という人も、しょぼく見られたくないという感情がブレーキをかけていたりするのではないでしょうか?

しかし、ここで間違ってはいけないのは、トレーニングは誰かと比較するためにやっているのではないということです。無理して高重量にチャレンジしてフォームを崩したり、ケガをしたりしてしまったら本末転倒。トレーニングは自分のペースで自分の目的を持ってやるのだから、人目なんて気にする必要はないのです。

現役時代は試合で勝つためのパワーをつける必要があったため、ウエイトトレーニングや補強トレーニングもハードなものでしたが、今はその必要はありません。ちょっとカッコイイ体を維持しておけばいいので、気楽なものです。新しい環境に刺激を受けながら、バルクアップに励みたいと思います。

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。