【岡部友の“天使への階段” 第3回】筋肉をつけていい場所、女性らしくなれる場所がお尻




“美尻のカリスマ”岡部友さんにもよる連載コーナー第3回。今回はなぜ女性にトレーニングを教えるにあたってお尻だったのか?というお話をお届けします。

痩せることは女性らしい体になることではない

――女性にトレーニングを教えるにあたって、なぜお尻だったのでしょうか?

岡部:最初の頃は、体を変える、筋肉をつけるのは、痩せることで全部が叶うと思っている女の子たちが多かったんです。「痩せたらモテる」とか「痩せたら人に好かれる」とか、そういう感覚の人が多かったですね。

――どうしても女性は痩せているほうがいいという考えが根強いですね。

岡部:痩せている人もそういうことを言うんですよ。たとえばAさんとBさんで、体重に10キロの差があっても、2人とも痩せたいんです。同じようには変わらないけど、2人とも変化がほしい。じゃあその変化をつけるにはどうしたらいいだろう?って考えたんです。そこで細い子が一番効率よく体が変わったことがわかるのは、お尻に筋肉をつけるってことだったんです。結局、目標は女性らしい体になるってことなんです。でも痩せればそうなると思っているから、みんな「痩せたい」って言うんです。そういう考えの人たちに「痩せることでは女性らしくはならないですよ」と言っても通じないんですよ。

――メイクの話ではないですけど、痩せることがいいという洗脳が強いわけですね。

岡部:そういうことです。だからそこは直接伝えずに、体が変わったと思わせるにはどうすればいいかという部分ですよね。説明してわかる方にはしますけど、そうではないなら話はしないで実践です。太ももは細いのにお尻に筋肉がついて体のラインが出ると、筋肉をつけるというのはこういうことだったんだって身をもって体験できるんです。そこで初めて女性らしい体になるというのは痩せることではなかったんだってわかるんです。

――論より証拠というやつですね。

岡部:はい。そのために筋肉をつけていい場所、女性らしくなれる場所がお尻なんです。足はある程度、細さをキープしたい箇所です。ウエストも細くいたいでしょうけど、それは筋肉をつける、つけないは関係なくて食事制限なんです。胸は脂肪なのでトレーニングではないですよね。腕が細い太いも脂肪で気になるなら、細くするのは食事なんです。そう考えると筋肉で女性らしくなれる場所ってお尻しかないんですよ。大きくなって構わない場所というのがお尻だけ。減量以外の部分でやったらやった分だけ女性らしくなる筋トレはヒップトレー二ングなんです。

――理にかなっているわけですね。

岡部:お尻が大きくなるとウエストが細く見えたり、足が細く見えたりということもありますしね。お尻を鍛えるうえで、太ももは大きくならないという縛りを加えた上で研究していますから。

――以前はお尻が大きいことをコンプレックスに感じていた人もいるんじゃないですか?

岡部:そうですね。そういう考えを変えていくにはまず自分から言っていくことが大事だと思ったので、体重も公開したし、お尻のセンチも公開しました。たとえば体重55キロで「50キロになりたいんです」と言っている人に「私、62キロあるよ」と言うと、「えっ!?ああぁ…」みたいな戸惑いを隠せない反応なんです。

――女性らしいスタイルになるのは痩せることではないというのを、そうやって身をもって伝えていったわけですね。

岡部:そうです。どこに脂肪がつきやすいかというのは、まず体を見たらわかりますよね。何もしていない体で脂肪がついている場所が、その人の脂肪がつきやすい場所なので、最初にどこに脂肪がつきやすくて、どこにつきにくいかとかは伝えるようにしています。

――運動経験があまりない初心者の方がトレーニングに来た時に、トレーニングを継続させていくコツってありますか?

岡部:今までも「スパルタ」、「スパルタ」とすごく言われていますけど、私にとってそれは普通のことなんです。きついけど、頑張ってついていったらあっという間に終わったという感覚を持ってほしい。「美尻」ってふわっとしていますけど、やっていることはお尻に筋肉をつけることですから。それを効率的にやるためには、「キャ~いたーい」なんて言ったら変わりません。「美尻になろうね」なんていう、ふわっとした言葉はかけない。

――そういうスタートでは続かない?

岡部:続かないです。最初の一発で、「やばい、本当のところに来ちゃった」と思ってもらわないといけないんです。そこで分かれ道があるんですよ。きついのがわかれば、「これをやれば絶対に変われる」と思うだろうし、逆に「こんなに痛いなら美しくなることを諦める」って思うかもしれない。この二択ですよね。ここまでやらないと美しくなれないなら、やめるって思うならやめていいんです。私はそういうスタンスでいます。でもそう思う人は女性ではないと思います。だから本気のやつを最初から見せてあげたほうがいい。

――成果が出ない練習をふんわりやるよりも、きつくても最初にやっていく方向性を示すというのは、よっぽど親切ですね。

岡部:だから最初に本気のやつを見せるんです。

撮影・保高幸子 取材・佐久間一彦

岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日、横浜市生まれ。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持するNSCA‐CSCSの資格を取得。帰国後、女性専用パーソナルトレーナーを経て、2016年3月、女性専用のフリーウェイトジム「Spice up Fitness」を東京・南青山にオープン。2017年9月には原宿に2店舗目をオープンした。“美尻のカリスマ”として女性を中心に絶大な支持を集める。