【岡部友の“天使への階段”第4回】AIの時代で終わるようなトレーナーではダメ

“美尻のカリスマ”岡部友さんにもよる連載コーナー第4回。「2つ道があったら難しいほうに行く」という岡部さんの物事に対する考え方、そして今後やってみたいことが語られます。

難しいことのほうができたときの達成感がある

――岡部さんの有名な言葉で「負荷がない人生はつまらない」というものがありますが、それはトレーニングに限らず、ですよね。

岡部:もちろんです。2つの道があったら絶対に難しいほうをとりますね。どっちが難しいかで判断するだけです。

――それは難しいもののほうが面白いからですか?

岡部:難しいほうができたときの達成感が大きいですよね。イメージできることはたぶんできると思っているので、イメージできないことが選択肢だったときは考えます。2つともイメージできたとしたら難しいほうにいきます。

――今までもそうですし、この先も難しいほうを選んでいく?

岡部:そうですね。失敗するとか、後悔するというのは今までもあまりないんですよ。みんな失敗を怖がるんです。あとは決めたことを自分ができなかったとか、そういうので落ち込んだりとかあると思うんですけど、それは全然怖がることでもないし、劣等感にするところでもなくて、ただの人体実験の結果だと思っているんです。自分の分析をできる一個の実験材料ぐらいにしか私は思っていません。

――「失敗」ではなく、「経験」として何かを得たことだと考えているわけですね。

岡部:そうです。次に使える判断材料になりますから。

――自分の中で失敗したなって思うことはないですか?

岡部:思うのは一瞬だけです。「でも」ってすぐに切り替える。たとえば食事制限をしていて、持たなくて1回食べてしまった。それですごく落ち込む人とかもいますけど、人体実験だと思えばいいんですよ。2週間頑張って我慢できなくてバーッと食べてしまったと。だとしたら、その食事方法はその人にとってやりすぎなんです。そういう実験結果が出たというだけです。それがわかったのだから、次は頑張る期間を1週間にするとか、制限をゆるくするとか、経験をもとに変えられますよね。そうやって考えればいいと思います。

――そういう考え方ができるから、岡部さんは失敗を恐れることがないのですね。やりたいことや夢は時間とともに変化することもあると思いますが、現時点での岡部さんが描いている夢や目標はありますか?

岡部:いっぱいあるんですよね。「Spice up Fitness」で教えることで、みんなによりよい体になってほしいし、成功体験を得て他にも使えるエネルギーを持ってほしいと思っています。ただ、ここに通える人は一握りなので、そうなると学校を作りたいなって思っています。どこにいても参加できるようなWeb学校を作りたい。トレーニングのことから、恋愛のこととか、仕事のこととか、みんなの質問を受ける生徒会長になりたいんです。

――面白そうな学校ですね。

岡部:学校のパロディです。たとえば部活……部活ってトレーニングなんですけど、トレーニングに通わなくなる人がいたら、「幽霊部員の皆さんへ」って、そういう切り口で話すとか(笑)。敵が一人いるとみんなの団結力が増すので、架空の校長先生を作って、その校長はヘビースモーカーのお腹の出た人で、「フィットネスなんかいらない」って言っているような設定で(笑)。「校長がこんなことを言ってるから、みんなで力を合わせてやらないか」みたいなことを話したりして。モチベーションが上がらない時にそれを見てトレーニングをするという感じで。設定はパロディでもトレーニングの内容は本気のやつです。

――いろいろ頭で描いているものはあるのですね。では、トレーナーという仕事をしていて、一番喜びを感じるのはどんな時ですか?

岡部:お客さんがトレーニング以外のことで、頑張ろうと思って何かを始めたというのを嬉しそうに私に話してくれている時が嬉しいですね。自分が何かをやったとかそういうことではなくて、その人の人生が次につながっているということを、トレーニングではないところで証明できているのがすごいなって思います。実際、昨年の『Fitness Angel』で優勝したアミン(・カレダ)ちゃんがトレーナーをやりたいと言ってくれたんですけど、それは彼女にとってはすごいことなんです。おとなしかった彼女が、楽しそうに人と喋っている。そこに向かって頑張っている、そういうところに踏み込んでいるというのが嬉しいなって思いますね。

――トレーニングを通じて人の人生に影響を与えているのですね。

岡部:先日、ドイツのFIBOという展示会に行ってきたんですけど、トレーニングが全部AI(人工知能)なんです。フォームを見てどこに体重がかかっているとか、全部画面で見られるんです。そこにパワーラックを置いてスクワットをしたら、こっちに体重が乗っているとか、胴体のねじれとか、全部観測できるんです。そうなると、もうトレーナーはいらなくなってしまうんですよ。私たちよりも機械は正確なので、どこに体重が乗っているかを見て正していくと、正しい位置に修正できるんです。それができてしまう時代って恐ろしいですよね。そうなるとトレーナーがいなくても済むということなんですけど、そうならないトレーナーにならなければいけないなって思っています。

――人にしかできないことで機械との違いを出せるトレーナーということですね。

岡部:機械にできない部分って、人と人とのコミュニケーションしかないので、それはトレーナーのみんなに伝えています。一緒に行ったスタッフにも「AIの時代になって終わるトレーナーになるな」って言いました。

――機械に負けないものを持っている人間じゃないと生き残っていけないというのは、この先どんな仕事でも同じかもしれませんね。

岡部:そう思います。やっぱりそれは人間力だと思うんです。人間がつながっていて面白いとか、そういうものしか残れなくなると思うので、そこへの危機感がありますね。そのためには誰かに何かを言われないとできないという、受動的なものではダメ。なんでも能動的にできないといけないと思います。自分の体のことでそれができれば、絶対に対外的なことでもできると思うので、そうするとAIに負けないんじゃないかなって思うんです。人の心や体の変化を喜べるというのはAIにはできないことだと思うし、そういうところを意識していきたいですね。

撮影・保高幸子 取材・佐久間一彦

岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日、横浜市生まれ。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持するNSCA‐CSCSの資格を取得。帰国後、女性専用パーソナルトレーナーを経て、2016年3月、女性専用のフリーウェイトジム「Spice up Fitness」を東京・南青山にオープン。2017年9月には原宿に2店舗目をオープンした。“美尻のカリスマ”として女性を中心に絶大な支持を集める。