ビーレジェンドプロテインの生みの親  鍵谷健社長にインタビュー!【前編】




VITUP!では「勝手にプロテインナンバーワン決定戦」を開催し、ビーレジェンド様の13種類のプロテインの中から独自にナンバーワンを決定してきました。そのビーレジェンドプロテインを制作する株式会社Real Styleの鍵谷社長をキャッチ。勝手に自社製品をあれこれ言われてご立腹ではないのか? 不安を抱えつつ本社を訪問させていただきました。

お客様の立場になっていろいろな種類を作った
ミルキーは本物のミルキーの練乳入りです

――勝手にいろいろとすみません。

鍵谷:とんでもない。ああやって取り上げていただいてありがとうございます。記事を拝見させていただきましたが、いろいろな意見があって参考になりました。良いところも悪いところもお客様の意見を真摯に受けて止めてマイナーチェンジは繰り返しているので、普段から新商品の開発だけでなく、既存の商品も常にアップデートしているんです。

――既存の商品も現在の状態が完成ではなく、さらに良さを追求しているわけですか。

鍵谷:そうです。泡立ったとか、溶けが良くなかったとか、お客様によってさまざまな意見がありますから、より良いものにしていく努力は常に必要だと思っています。

――なるほど。企画の中では13種類セットを使用させていただきました。そもそも、なぜあれだけたくさんの種類を作ろうと思ったのでしょうか?

鍵谷:単純にお客様の立場からしたら1種類よりも3種類、3種類よりも5種類、5種類より10種類、いろいろあったほうがいいですよね。

――そうですね。ただ、種類を絞ったほうがコスト的にも効率がいいような気もします。

鍵谷:その通りです。コストや経費、倉庫費用もかかってきますし、大量の在庫管理など、大変なことはたくさんあります。同業のメーカーさんにも「なんでそれだけのバリエーションを持てるんですか?」とか「どうしてそれだけ在庫を持てるんですか?」と聞かれたことがあるんですけど、「頑張っているんです」としか答えられない。皆さん、何か裏があると思っているのでしょうが、頑張っているとしか言いようがないんです。

――すべてはプロテインを飲んでくれるお客様のためなのですね。

鍵谷:そういうことです。儲からないんですけどね(笑)。

――プロテインの開発についてお聞きしたいと思います。シェイクして飲むプロテインに炭酸が入った「一杯飲んどコーラ風味」というのは、なかなか冒険だなという印象があります。

鍵谷:あれは未だにお客様から暴発したとか、開けるときに手について困るという声があります。ポジティブな意見とネガティブな意見があるのですが、コーラって飲みたくなるときがありますよね?

――ありますね。

鍵谷:ハードなトレーニングをされている方って、カレーとかラーメン、コーラや甘いケーキとか、絶対に食べたくなるものや飲みたくなるものってあるんですよね。カレーやラーメンはちょっとどうかと思いますけど、それならコーラはありかなと思ったんです。

――コーラは水で割っても牛乳で割っても美味しかったです。

鍵谷:牛乳で割るとコーラフロートみたいになりますよね。

――コーラの他にも波動拳風味やミルキー風味といったプロテインもあります。こちらはどういう経緯で開発に至ったのでしょうか?

鍵谷:私は今年で45歳になるんですけど、いわゆるストⅡ(ストリートファイターⅡ)世代なんです。だからカプコンさんとコラボしたいなというのがきっかけですよね。

――波動拳風味という何の味なのか想像できないところが、想像力をかき立てられます。

鍵谷:なんだかよくわからない味にしようという考えがあったんです。そもそもストリートファイターで味って言ってもわからないじゃないですか。でもストⅡなら波動拳や昇竜拳。どっちにしょうか考えていて、昇竜拳はパンチですけど、波動拳はエネルギー波が出ているので、こっちのほうがいいなと思って決めました。

――波動なので炭酸、サイダー風味なのですね。

鍵谷:そういうことです。

ストリートファイターⅡとコラボした波動拳風味のプロテイン

――ミルキーは美味しいと非常に評判の商品です。

鍵谷:ミルキーさんはサンプルを作っているときに、たまたまミルキーさんの営業の方と弊社の工場のほうでやり取りがあって、「サンプルを作ったんです」って冗談半分で渡したら、不二家の社長さんのところにそれが渡って、飲んでいただいて、「よくこれだけ再現した。これはすごい」と絶賛していただいたんです。それでぜひミルキー味のプロテインを作りましょうという話になって、「ウチの練乳を使ってください」と言ってもらったんです。

――では本物のミルキーの練乳入りなのですね。

鍵谷:そうです。でも、ミルキーさんの練乳を使ってできている現在のプロテインと、サンプルで作ったミルキー風味は同じ味をしています。それぐらい味を再現したので、社長さんにも喜んでもらえたのだと思います。

――プロテインの場合は味を再現する難しさもありますが、それと同時にタンパク質の量や溶け具合なども考慮しなければいけないので、いろいろと大変そうですね。

鍵谷:本当にその通りです。味と溶け具合とダマにならないこと。この三つを揃えるのはかなり難しいです。どれかを犠牲にすれば弊社では比較的簡単にできると思っているのですが、三つを兼ね備えてというのは難しいですね。プラス、お客様のことを考えたら値段もお手頃な価格にしたいですから。

――味は試飲だと思いますが、溶け具合はどのようにチェックするのですか?

鍵谷:サンプルがあがってきたらいろいろな飲み方をします。冷たい水で飲んだり、牛乳で飲んだり、シェイクの仕方もいろいろあります。

――より溶けやすいシェイクの仕方もあるのですか?

鍵谷:ローリングシェイクから普通のシェイクをします。

――ローリングシェイクとは!?

鍵谷:単純に何もしないで上下にシェイクするよりも一度回して洗濯機のように渦を巻かせて、極力水面と触れる面積を広くしてからシェイクしたほうがいいんです。10回ローリングしてから20回シェイクですね。サンプルで泡立ち具合を見るときは、30回シェイクというのをベースにしていて、それでどれくらい泡が出るかをチェックします。他にも上から吹いて風を送ってみたり、30秒放置で回してみたときの泡の減り方だったり、いろいろな状況を想定してやっています。

――すごい徹底ぶりですね。味だけでなく、溶け具合やダマにならないという部分にもすごくこだわっているのですね。

鍵谷:たとえば気温であったり、水温であったり、水で割るのか牛乳なのか、スポーツドリンクなのかでも違うし、水でも各市町村で、塩素濃度が違うので環境によっても溶け方は変わるんですよね。ミルキーとかチョコの甘い系と、ベリーとかパッションのような柑橘系でもPHと酸味の兼ね合いで変わってきたりということもあります。

(後編に続く)

取材&撮影/佐久間一彦