ボディビル初心者へ、最高にほめる文化へようこそ【JBBF広報 上野俊彦さんに聞きました③】

先日ご紹介した、ボディビルの入門書としてピッタリな、世界初の「ボディビルのかけ声辞典」。今回も引き続き、日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)広報の上野俊彦さんに、ボディビルのみどころについてさらに深く聞いた。

日本人のポージング技術は世界最高峰

――そういえば、選手たちはみな日焼けしていますが、あれはやはり日焼けサロンに通っているんですか?

上野:そうですね。でも、日焼けサロンだけじゃまだ弱いので、最終的には太陽で焼かないと、真っ黒にはならないんですよ。黒人の方が振り返るほど黒くならないと舞台映えしないんですよね。会場のライティングがすごく明るいので。日焼けサロンだとムラができたりするので、真っ黒になるまで太陽の下で焼いています。

――黒いほうが、より魅力的に見えるわけですね。

上野:見た目のハードさが違うんですよ。筋肉のセパレーションとか、隆起した筋肉のゴツさが、真っ黒だと表現できるんです。

――ボディビルのコンテストは海外でも行われていますが、日本国内と世界では違いがありますか?

上野:違いますね。世界仕様があると思います。

――体を作るという点でですか?

上野:それもあります。ただ、世界には化け物みたいな人だらけで、彼らを相手に日本人どうやって勝つか?という戦略が必要になってくると思います。頑張っても筋肉の大きさではどうしても勝てないので、仕上がり具合とか、日本人独特のポージングのきれいさとかをより磨いていっています。

――ポージングにも差があるわけですか?

上野:日本人のポージング技術は、海外でもすごく称賛されるんですよ。スタンディングオベーションが起こりますし、感動といった部分でリードしていて、世界最高峰だと思います。筋肉の大きさでは欧米人に負けてしまうぶん、そこで勝負するわけです。

――ちなみに外国人のポージングはどういう感じなのですか?

上野:意外とノリでやっていう人もいますね。もちろん、素晴らしい人もいるのですが。

今回の取材になぜか取材に付いてきたジャスティス岩倉さんと一緒に

――フリーのポージングにはどういう決まりがあるのですか?

上野:同じ審査競技でも、フィギュアスケートなどと違い、入れなくてはいけない既定のポージングはありません。自分の得意なのを全面に出してやりきる人もいますね。

――オリジナルを発明することも?

上野:創作ポージングみたいなのもありますね。四股を踏んだり、ラップみたいな真似をしたり。綱引きをやる人とか。昔、バク転をした人がいたんですけど、失敗して大けがして禁止になりましたね。

――あまり動きすぎても、筋肉がきれいに見えないですよね。

上野:見えないですね。きれいな写真も撮れないですし、何を見せたいんだろうと(笑)。

――選曲による会場の雰囲気も、時代とともに変わってきていますか?

上野:人それぞれですからね。映画のサウンドトラックが割と多いですし、年配の人だと大河ドラマとか、昔のロッキーのテーマをいまだに使っていたり(笑)。最近だと、アニメの曲を使う人も多くて、学生の大会だとAKB48などのアイドル系が多いですね。

――彼らにとてはそういう曲のほうが気合が入るってことなんでしょうね。

上野:やはり自分の好きな曲が、気持が乗りやすいんでしょう。

――今回こうやってお話を伺ったことで、ボディビルの大会がどのようなものか、まだ行ったことのない人にもわかっていただけたと思います。最後に、メッセージをいただけますか?

上野:ボディビルはガチガチムチムチな世界だと思っている方もいると思いますが、一番大切なのは、「ほめる文化」であり、「ポジティブシンキング」なところにあると思います。選手たちは苦しい時間を頑張ってきているので、ほめてもらえるとやっぱり嬉しいんです。『ボディビルのかけ声辞典』はボディビルの入門書であると思っていますので、まずはそこでこの世界を少し覗いていただき、本を片手に、会場で選手たちに最高のほめ言葉をかけていただきたいと思います。

取材・撮影/木村雄大