泉風雅【静かなる闘志の行方②】2017年全日本学生ボディビル選手権大会優勝者




2017年全日本学生ボディビル選手権大会優勝者、泉風雅。人懐っこい笑顔とは裏腹に静かなる闘志を燃やす、若干21歳のボディビルダーは、普段どんなトレーニングを行なっているのだろうか? 今回はそのこだわりを聞いた!

トレーニングのこだわりは、こだわらないこと

――今日はどういった練習をされていたんですか?

泉:今日は、5~8程度のレップスの範囲内で重量を変えながらトレーニングをしました。

――1時間弱くらいのトレーニング時間だったと思いますが、普段からこのくらいの時間なんですか?

泉:大体1時間弱くらいですね。去年の夏くらいから、短くなっていきました。それまでは、2時間くらいトレーニングをしたり、長時間トレーニングをするときもありました。だけど実際には、1時間やっても2時間やってもそんなに変わらないんです。ただ疲れが溜まってしまうだけの部分もあったので、この方が効率がいいのかなと思うようになりました。

――1週間単位のスケジュールやサイクルをたててトレーニングを行なっているんですか?

泉:1週間ではないんですけど……、結構説明すると複雑なんですよ(笑)。大体2週間くらいの時間の中で、中ぐらいのもの、重いもの、軽いもの、というサイクルでやっています。ただ、時期によっても変わってきます。なので基本的に普段の決まったメニューというのはありません。種目も重さも全部バラバラなんです。決まった形がないというところが一番のこだわりかもしれないです。ただ自分の方法はかなり特殊だと思います。

――意外ですね。ある程度、欠かさずにやるメニューは決めているのかと思っていました。

泉:自分の場合は、少し疲れたなと思った日は、追い込むのではなくて、軽めにトレーニングをしたり、すぐにオフをとったり、臨機応変にトレーニングしています。実は追い込むという言葉も、あまり好きではないんです。

――それはどうしてですか?

泉:去年の夏ごろから考え方がいろいろと変わったんです。高校2年生の秋にトレーニングを初めて以来、「やればやるだけ報われる」と思ってトレーニングをしていたんですが、スポーツ科学部でいろいろと勉強をしていく中で、より多くやることよりも、より正しい刺激を筋肉に与えてあげることが重要なんだということに気が付きました。

転機となったのは、ある記事との出会い

――去年の夏に何かきっかけがあったんですか?

泉:そうですね。去年の夏にボディビルダーの山本義徳さんの記事を読んだのが大きかったです。単純に長い時間多くやる必要は本当にあるのだろうかと思っていた時に、ちょうど山本さんの記事を読んだんです。その時「やっぱりな」と腑に落ちることがたくさんあったんです。先週も山本さんのセミナーに参加するために大阪まで行ってきました。

――わざわざ山本さんのお話を聞きに大阪まで行かれたんですか?

泉:単純に、東京での講演情報を拾いきれていなかったこともあるんですけど……。セミナーで山本さんのお話を直接聞いたり、書籍も出されているので、それを読みながら勉強しています。

――山本さんのお話で、腑に落ちたところというのは、具体的にどんな点ですか?

泉:たとえば、最初にお話ししたトレーニング時間や、質についてですね。あとは山本さんのお話を聞いていてからは、オフをよくとるようになりました。逆にいうと、オフをとらないですむというのは、オフなしでできる程度のトレーニングしかしてないのかもしれないなと。なので、自分はオフをとらないと成り立たないくらいきちんとしたトレーニングを目指しています。とくに、質と量はしっかりと見極めるべきだと思っています。

――オフはどのくらいの頻度でとられているんですか?

泉:今は減量中なので、トレーニングによって代謝を高める日を作るため、4日に1回くらいのペースでとっています。ただ、去年の増量期は2日に1回、3日に1回くらいのペースでとっていました。なので、トレーニング自体は週に3回から4回くらいやっていました。

――減量の方は、調子はいかがでしょうか?

泉:正直、まだまだ絞り切れていないですね。増量期に、卵20個くらいをスクランブルエッグにして食べたりして、かなり体を大きくしました。ただ、今脂肪を落とすのにとても苦労しているので、少しやりすぎたと反省しています。実は、昔はおデブちゃんだったんですよ(笑)。もともと食べることが大好きなんです。

――そうなんですね。ちなみに今は一人暮らしなんですか?

泉:はい、そうです。

――そうすると、自炊になりますよね。ご実家ではないぶん、食事の面とかでいろいろと苦労されることとかはありませんか?

泉:確かに自分で調理したり、管理しないといけませんが、気楽にやれる部分もたくさんあります。逆に実家だと、自分の食事と家族の食事が違うものになってしまうので、両親に迷惑をかけてしまうかもしれないですし。

★去年の夏に転機を迎え、これまでとはまた違ったウエイトトレーニングの魅力に気づいていった泉風雅選手。次回の記事では、泉選手が思い描く今後のヴィジョンについて掘り下げていきます。

取材・文・撮影/須崎竜太

泉風雅【静かなる闘志の行方①】2017年全日本学生ボディビル選手権大会優勝者