プロレス界屈指のパワーの持ち主・宮本和志②【人物クローズアップ「筋の旅人」】

 

2001年に全日本プロレスでデビューした宮本和志選手は、ボディビルや相撲、パワーリフティングやアームレスリングを経験してきた、プロレス界でも屈指の力自慢。そんな宮本選手のインタビュー第2弾では、プロレス道場でのトレーニングと食事についての話。驚異的な増量メニューを紹介する。

鶏胸肉のちゃんこ、ささみジュース
増量メニューでパワーアップ

――パワーリフティングやボディビルで鍛えてからの再入門だったので、高校卒業直後とはだいぶ違いましたか?

宮本:まったく違いました。プロレスに必要な受け身やスパーリングは全然でしたけど、基礎体力に関しては、当時、道場にいた先輩たちよりもできましたね。

――プロレスの道場は伝統的に基礎体力トレーニングの回数が多いのが特徴です。

宮本:ウエイトトレーニングって、重力に逆らって自分の体重以上のものを上げたりするじゃないですか。だからプロレスのトレーニングでプッシュアップとかスクワットを自重で何百回やってもまったく平気でした。自重で何回やっても筋肥大にはならないということもわかっていたので、これは有酸素運動の一環なんだというふうに気持ちを切り替えてやっていました(笑)。

――トレーニングの知識もあるので、考え方を変えながらやっていたのですね。

宮本:食事のちゃんこにしても、昔は豚バラを入れたり何でも入れていましたけど、僕がつくるちゃんこは鶏の胸肉を使っていました。当時の先輩たちには「宮本くん、これパサパサして食べられないよ」って言われてたんですけど、「体にいいので食べてください」って(笑)。鶏のつみれもつなぎなしで胸肉だけつくっていました。全日本プロレスのちゃんこを筋肉メニューに変えましたね。米も白米ではなくて十六穀米とかに変えて、いい炭水化物を摂取するようにしていました。

――とにかく体づくりにこだわったのですね。

宮本:はい。それからしばらくして武藤(敬司)さんが全日本プロレスに入団してきて、古かった道場のトレーニング器具を一新したんです。グリコの桑原(弘樹)さんもサポートしてくれて、サプリメントの正しい摂り方を教えてくれました。トレーニング後、30分以内に必ずプロテインを摂る。炭水化物も摂る。そういう知識を入れてくれたおかげで、道場生みんなの体が変わりましたよね。

――専門家から知識を得られたことで、より肉体が進化していったと。

宮本:そうです。違うガソリンが入ったみたいな感じでしたね。それまでは道場の合同練習といったら、自重トレーニングをやって受け身をやって試合のトレーニングをして……という感じでした。それが2002年に武藤さんが入団してからは、合同練習の中にウエイトトレーニングの時間が必ず入ったんです。「これから45分間ウエイトトレーニング」という感じで、各自が課題を持ってウエイトトレーニングをやる時間が入ったことで、確実にみんなの体つきが変わったと思います。

――当時のプロレス道場の練習としては画期的ですね。

宮本:それまでは練習後に各自が自主的にやる感じで、合同練習でウエイトトレーニングという発想はなかったですからね。やり方もみんな自己流でしたけど、桑原さんがトレーニングを見てくれて、正しいフォームを覚えて、本当に変わったと思います。武藤さんもウエイトトレーニングが好きなので、一緒になってやっていましたね。

――環境の変化によって好転したわけですね。

宮本:プロレスに入ってすぐの頃は、体重がなかなか増えない時期もありました。新弟子のときは雑用も多くて寝る時間もなかったですし、合同練習でも有酸素運動がすごく多かったので、これ以上は体が大きくならないんじゃないかと思ったこともありましたけど、こうした環境の変化は大きかったと思います。

――体を大きくして筋肉をつけるのには何が大事だと思いますか?

宮本:基本的なトレーニングと食べること。これしかないんですよ。基本的なことを基本以上にやるしかないんですよね。食事に関しては茹でたささみも一気に食べられないんだったら、流し込んでやろうって思って、1㎏ぐらいのささみをミキサーでドロドロにして一気に流し込んだりしていました。このささみジュースは効きましたね。

――ささみジュースですか!?

宮本:これは本当に効きます。1回やってみてください(笑)。

――味付けはどうしてるんですか?

宮本:パルスイートという甘味料です。あとはバニラエッセンスを入れて、味はバニラジュースです。口当たりはもさもさしますけど(笑)。

――ほかにも増量メニューはありますか?

宮本:ありますね。プロテインをつくるときにミキサーに卵を10個入れて、水とか牛乳は入れないで、卵だけでプロテインを割るんです。超高たんぱくプロテインです。食事では取り切れないたんぱく質をこういう形でとって、トレーニングをして、筋肉をつけていたという感じですね。でも今はサプリメントも発展していて、クレアチニンもあればBCAAもあるし、いい時代だと思います。

 

※次回は現在のトレーニングについてのお話。

取材/佐久間一彦 撮影/安 多香子

宮本和志(みやもと・かずし)
1979年2月22日、福島県出身。学生時代は相撲、アームレスリング、ボディビルでならす。2000年に全日本プロレスに入門し、2001年8月19日、後楽園ホールでの馳浩戦でデビュー。2004年には無期限アメリカ遠征を行ない、APWテレビジョン王座、HIWヘビー級王座、TWEテキサスヘビー級王座など数々のタイトルを獲得。2005年に全日本プロレス退団後は、さまざまな団体で自慢のパワーを発揮している。