表参道のジムの思い出【コラム:ジムほど素敵な場所はない 第3回】

先日、原宿のゴールドジムに行ってきました。
いやあ、いい環境ですね。器具の充実は当然として、ラウンジから原宿の街並みを一望できるのが最高です。一通りのトレーニングを終え、シャワーで汗を流した後、大きな窓に面したカウンターに座り、筋肉の心地よい張りと疲労を味わいながら、特製プロテインドリンクを飲む。トレーニーにはたまらないひとときと言えるでしょう。

さて、街を眺めているうちに、古い記憶がよみがえってきました。
原宿と言えば、今も昔もファッションの街。その中心地のひとつである表参道には現在は高級ブランドショップが立ち並んでいますが、1990年代はもっと雑然としていました。ただ、「裏原系」というムーブメントの全盛期だったこともあり、圧倒的なエネルギーに満ちあふれていました。

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そんな当時の表参道にVIVRE(ビブレ)というショッピングビルがあり、4階にスポーツジムが入っていました。「エグザス」だったと思います。設備は普通でしたが、ちょっと特殊なジムでした。
ちなみに歴史を調べてみると、VIVREは2001年に三菱商事よってESQUISSE(エスキス)というビルに変わりました。さらにその後、竹中工務店のプロデュースで、シャネルなどが入る商業施設「GYRE」(ジャイル)となっています。

そのジムの最大の特長は、屋外プールがあること。これはめずらしいです。全国のジムをくまなく見たわけではありませんが、少なくとも東京では当時も今も稀に見るスタイルでしょう(開閉ルーフ式のプールはたまにありますね)。

プールサイドにはビーチベッドがいくつも並び、夏には日焼けをすることも可能。1階に欧米人が集まるオープンカフェがあったこともあり、ジムにも外国人の会員が多く、彼らが屋外プールでくつろいでいると、そこはあたかも海外のリゾート地のようでした。
ビル街ですから、平日は周囲の建物で働いている人からのぞかれます。それもまた不思議な感覚でした。

とにかく夏は最高。私もその魅力にひかれ、会員になっていました。あまりにも夏の思い出がキラキラ輝きすぎて、そのプールが冬はどうなっていたかまったく覚えていません……。

さらに不思議だったのは、プールサイドにサンドバッグがぶら下がっていたことです。
現在のゴールドジムのような格闘技クラスのある施設も少なかった時代、なぜプールサイドにサンドバッグだったのか、誰の意見でそうなったのか、いまだに謎です。
ただ、私は打撃系格闘技に触れていたので、個人的にはそれも大きな魅力でした。クロールや平泳ぎでプールを何往復かして息を上げた後、サンドバッグにパンチやキックを叩きつけ、そのまま自重スクワット→プッシュアップ。それで1セット。少し休憩して、また同じことを繰り返します。サーキットトレーニングですね。
それを何セットか終えた後、ビーチベッドで紫外線を全身に浴びながら一休み。大好きな時間でした。

唯一の問題。濡れた足を軸にしてサンドバッグを蹴ると、すべって転びます。たしか下はコンクリートか石畳のような作りだったので多少は滑り止めになりましたが、それでも何度か転んでヒジなどをすりむいたりした記憶があります。この点から考えても、やはり独特な施設だったと思います(パンチだけにして蹴らなきゃ良かったんでしょうけどね)。

青かった時代を振り返りながら、久々にそんなジムに行ってみたいなと思いました。どこかにあったら、ぜひ教えてください。

文/ジェット・ハヤタ