貼り薬や塗り薬は本当に効くの?【ドクター長谷のカンタン薬学 第5回】

風邪をひく、頭痛、筋肉痛、二日酔い……日常生活では何かと薬のお世話になる機会も多いもの。薬はドラッグストアやコンビニでも簡単に手に入る時代。だからこそ、使い方を間違えると大変! この連載では大手製薬会社で様々な医薬品開発、育薬などに従事してきた薬学博士の長谷昌知さんにわかりやすく、素朴な疑問を解決してもらいます。

Q.貼り薬や塗り薬は本当に効くの?

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貼り薬や塗り薬は、痛みやかゆみ、肌の乾燥などのいろいろな局所の症状や異常に対して使われています。例えば、ヒザが痛いとき、わざわざ痛み止めを全身に行き渡らす必要があるでしょうか? ヒザにだけ薬を届けてあげれば十分ですよね。前回のコラムで紹介したように、痛み止めの一つのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の経口薬(飲み薬)を飲み続けると、胃潰瘍や腎臓への障害などのいろいろな副作用を起こすことが知られています。つまり、貼り薬や塗り薬は、痛みなどの症状がある部位に十分量の薬を届け、問題のない部位には不必要に薬を届けないので、有効性の観点からも安全性の観点からも重宝されています。

では、NSAIDsであるロキソニンを例にとって説明してみましょう。ロキソニンを販売している会社は、痛みを伴う3つの疾患に対するロキソニン飲み薬と貼り薬の有効性と安全性を比べた試験結果を国に提出しています。その試験では、心理的な影響をなくすため、患者さんは自分が何を使ったかわからない状況で服用したロキソニンの有効性と安全性を評価しています。

この方法は、医薬品を評価する上で最も信頼性が高い方法とされています。その試験結果をまとめたのが下の表です。変形性膝関節症では治療4週間後に、筋肉痛では2週間後、外傷後では1週間後に患者さんが、どの程度症状が改善し、どの程度安全であったか評価しました。

結果を見ていくと、数値的には有効性や安全性に差があるように見えますが、市販されているロキソニンは飲み薬であっても貼り薬であっても有効性や安全性に大きな差はないと判断されています。ただし、飲み薬では、貼り薬の約50倍も血中濃度が高くなると報告されていますので、長期間ロキソニンを使用する場合には、胃潰瘍などの副作用を避けるためにも貼り薬を選択するのもいいと思います。

貼り薬や塗り薬を使用するとき、肌が弱い方はかぶれてしまったり、かゆくなったりするので、そのあたりは注意して使用したほうがいいでしょう。また、湿布薬の中には光線過敏症をひきおこすものがあるので注意が必要です。光線過敏症とは、普通では異常を生じない量の光線によって皮膚が赤く腫れたり、かゆくなったりする症状のことです。湿布など痛み止め系の貼り薬や塗り薬を使用するときは、服の下など、直接陽が当たらないようにして使用することが大事だと思います。

 

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長谷昌知(はせ・まさかず)
1970年8月13日、山口県出身。九州大学にて薬剤師免許を取得し、大腸菌を題材とした分子生物学的研究により博士号を取得。現在まで6社の国内外のバイオベンチャーや大手製薬企業にて種々の疾患に対する医薬品開発・育薬などに従事。2018年3月よりGセラノティックス社の代表取締役社長として新たな抗がん剤の開発に注力している。
Gセラノスティックス株式会社