ジェネリック医薬品って何? 【ドクター長谷のカンタン薬学 第9回】




風邪をひく、頭痛、筋肉痛、二日酔い……日常生活では何かと薬のお世話になる機会も多いもの。薬はドラッグストアやコンビニでも簡単に手に入る時代。だからこそ、使い方を間違えると大変! この連載では大手製薬会社で様々な医薬品開発、育薬などに従事してきた薬学博士の長谷昌知さんにわかりやすく、素朴な疑問を解決してもらいます。

Q..薬局に行くと「ジェネリックでもいいですか?」と聞かれることがあります。ジェネリック医薬品とはどういうものでしょうか?

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ジェネリック医薬品とは、後発医薬品のことで、厚生労働省の認可を得て製造販売される、新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を含む医薬品のことを言います。

ジェネリック医薬品の話を始める前に、医薬品の成り立ちについて簡単に説明します。医薬品は、有効成分である原薬に安全性の確かめられているいろいろな添加物を加えて、錠剤やカプセルにしたり、坐剤や外用剤にして使用しています。例えば、インフルエンザ治療薬「タミフルカプセル」の場合、「オセルタミビルリン酸塩」という有効成分に、添加物として、部分アルファー化デンプン、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウムを加えてカプセルにしています。配合比などは、薬ごとに異なりますが、これらの添加物は一般的に使われているものです。

ですので、医薬品の開発において、新しい有効成分を見つけ有効性と安全性を証明するのがもっとも労力が、すなわち莫大な時間とお金がかかります。概して言いますと、医薬品候補化合物の中から実際に医薬品として販売される確率は、1/10,000以下とされています。このように苦心の末に開発された新規の有効成分の特許期間は発見されてから20年。治験などを経て製品化されるまでにも時間を要するため、いかに特許期間を長く残して製品化できるかが、製薬会社にとっては大事になります。この特許期間中は、開発した企業が独占的に薬を販売することができるからです。

では、ジェネリック医薬品とはどのようなものでしょうか? 簡単に言いますと、新薬の有効成分の特許期間満了後、規格試験、安定性試験、生物学的同等性試験を実施した結果、効き目が同等であることを厚生労働省から認められた医薬品です。ジェネリック医薬品の良さは、初期の開発費がかかっていないため値段が安くなること。また、添加物の組成を変えることによって、味の改良や小型化、あるいは服用後すみやかに溶けるOD錠にする、また、服用回数が一日2回だったものを一日1回にするなど、患者さんがより飲みやすくなるように工夫することができます。前述した「タミフルカプセル」では、クロスカルメロースNa、タルク、部分アルファー化デンプン、ポビドンが添加物として加えられており、新薬と微妙に異なることが分かると思います。

先発品よりも値段が安く、飲みやすいように改良もされている。そんなジェネリック医薬品が発売されると、アメリカですぐに先発品の売り上げが一割まで下がると言われていて、ジェネリック医薬品のシェアは92パーセント(2015年10月~2016年9月の統計)と圧倒的です。ところが日本は“先発品神話”のような考え方が根強く、ジェネリック医薬品のシェアは59パーセント(同統計)と、他の先進国と比べてかなり低い数字となっています。

そんななか最近は「オーソライズドジェネリック」と呼ばれる医薬品も販売されるようになりました。これは新薬メーカー(先発医薬品を開発・販売している企業)から許諾を得て、原薬、添加物および製法などが新薬と全部同じというジェネリック医薬品のことです。先発品と同じでありながら価格は4~5割に抑えられるため、金額面、安心面の両面から重宝されていくと思われます。

高齢化社会となり、医療費を少しでも抑えたい国としては2020年9月までに、ジェネリック医薬品のシェアを80パーセントまで高めたいという目標を持っています。そうした意味でも、オーソライズドジェネリックは、今後より注目されていくかもしれません。

 

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長谷昌知(はせ・まさかず)
1970年8月13日、山口県出身。九州大学にて薬剤師免許を取得し、大腸菌を題材とした分子生物学的研究により博士号を取得。現在まで6社の国内外のバイオベンチャーや大手製薬企業にて種々の疾患に対する医薬品開発・育薬などに従事。2018年3月よりGセラノティックス社の代表取締役社長として新たな抗がん剤の開発に注力している。
Gセラノスティックス株式会社