目薬は頻繁にさしてもいいの? 【ドクター長谷のカンタン薬学 第11回】




風邪をひく、頭痛、筋肉痛、二日酔い……日常生活では何かと薬のお世話になる機会も多いもの。薬はドラッグストアやコンビニでも簡単に手に入る時代。だからこそ、使い方を間違えると大変! この連載では大手製薬会社で様々な医薬品開発、育薬などに従事してきた薬学博士の長谷昌知さんにわかりやすく、素朴な疑問を解決してもらいます。

Q.疲れ目や充血、かゆみなどで目薬をさすことがありますが、頻繁にさしても問題はないでしょうか?

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春は花粉症の季節であり、鼻水やくしゃみだけでなく、目のかゆみに悩まされている人も多いのではないでしょうか? 花粉症に限らず、疲れ目を癒すためなど、目薬を頻繁に利用する方もいると思います。市販の目薬に関しては第三類のものがほとんどなので、安全性に関しては高いものばかりです。かゆみ、疲れ目、充血など、症状に合ったものを使用していれば、頻繁に使用してもそれほど大きな問題はないと考えていいでしょう。

花粉症などのアレルギーによって目がかゆい場合は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬など、病院で処方されるものがほとんどです。こちらも副作用などの心配はそれほど高くないので、あまり神経質になる必要はないと思います。

パソコンを長時間使用していたり、徹夜作業をしたりしたときは、疲れ目を癒したり、眠気を覚ますために目薬を使用するという方もいるかもしれません。「仕事や勉強で疲れた目と眠気を一気に覚ましてくれる!」と謳った目薬もあります。メントールやカンフルによって目がスーッとすることで、目が覚めたような気分になることはあるかもしれませんが、基本的に目薬には眠気を回復させる効果はありません。

ただ、疲れ目で充血しているときに、それを抑える目薬は存在します。充血は目の炎症や疲れなどが原因で、目の血管が膨らんだ状態のことです。目の血管は細いため普通の状態では外から見えないのですが、血管が膨らむと目立つようになり、赤く見えるのです。これを抑えるために血管収縮作用のある成分を含んだ目薬を使用すると、血管がキュッと収縮するので、充血を抑えることができます。

充血、疲れ目、かゆみ、どんな種類の目薬であっても注意してほしいのは使用法です。目はデリケートな箇所なのでとにかく清潔にすることを心掛けてください。使用前に手を洗うことや、他の人の目薬は使わないというのはもちろん、使用する際に目じりや目頭に容器の先をつけるのもよくありません。目薬の中に目ヤニや涙液が吸い込まれると、汚染の原因となります。何かしらの原因で目薬が変色していたり、浮遊物や濁りがあったりしたら、使用するのは控えてください。また、2種類以上の目薬を使用している場合は、5分以上間隔を空けて点眼するようにしましょう。間隔を空けずに点眼すると、効き目が下がる場合があります。医師や薬剤師から指示がある場合は、それに従ってください。

目薬はそれほど神経質になる必要はないと書きましたが、市販薬はたくさんの種類があります。使い心地だけで選ぶのではなく、目の状態に合わせて正しい目薬を使用するために、成分や効能はしっかり確認しましょう。

 

 

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長谷昌知(はせ・まさかず)
1970年8月13日、山口県出身。九州大学にて薬剤師免許を取得し、大腸菌を題材とした分子生物学的研究により博士号を取得。現在まで6社の国内外のバイオベンチャーや大手製薬企業にて種々の疾患に対する医薬品開発・育薬などに従事。2018年3月よりGセラノティックス社の代表取締役社長として新たな抗がん剤の開発に注力している。
Gセラノスティックス株式会社