全力さんの経過報告会。あれからどうなった?【川﨑泰代の美筋食 番外編】

「走るフードコーディネーター」川﨑泰代さんに体づくり、健康づくりのための食事と栄養について教わる連載。今回は再び番外編として、“日本一全力なサポーター”として有名な、全力さんが登場。昨年夏に川﨑先生からアドバイスを受けましたが、その後どうなったのか? 川﨑先生が今シーズンよりJ2リーグのアビスパ福岡の栄養アドバイザーに就任したことにより、東京ヴェルディサポーターの全力さんと、5/11、味の素スタジアムで行なわれたリーグ戦でついに対決が実現! 試合後、久々にお二人にお集まりいただきました。

川﨑:お久しぶりです。あれ以来、いろいろと食事の改善を行なっていると聞いていますが、さっそくですが今朝から食べたものを教えてください。

全力:はい。今朝は8時半くらいに朝ごはんを食べました。カレーライス、サラダチキン、ポテトサラダに、飲み物は100%のオレンジジュースです。家を出て味スタに到着して、開門前の11時半頃にシャケのおにぎり。15時にキックオフなのですが14時過ぎからウォーミングアップがはじまるので応援がスタートします。そこから水分は、前半はアイソトニック飲料のアクエリアス、後半はハイポトニック飲料のグリーンダカラをそれぞれ2リットルですね。ハーフタイムにはゼリー飲料を飲んで、試合後はどら焼きを2個食べました。

全力さんの朝ごはん

川﨑:なるほど。いいですね、言うことないほどバッチリじゃないですか。私がアドバイスを行なっているアビスパ福岡の選手たちもしっかり食事には気を配っています。

全力:ありがとうございます(笑)。それでいくつか、聞きたいことがあるんです。おにぎりの具の量って、商品によって違うじゃないですか。やっぱり多めのほうがいいんですか?

川﨑:どちらかと言えば、具はあったほうがいいですよ。エネルギーになる炭水化物だけではなく、具からも必要な栄養を摂ることができるので。具の量って買うお店によって違いますよね?

全力:スーパーの安いものよりは、コンビニのちょっと高いやつのほうが具だくさんですね。これからはそっちを選ぶようにします。あと試合後のどら焼きなんですけど、今はこの7個入りのパックの中から2個食べていますけど、1個では少ないですよね。

全力さんが食べているどら焼き

川﨑:そうですね……少し小さめなので2個でOKです。普通のどらやき1個くらいがちょうどいいんじゃないかと思いますね。疲労回復を図るのであれば、糖質+タンパク質のものがより良いので、どら焼きよりはカステラのほうが良いかなと思います。どら焼きはあんこが入っているぶん、少しカロリーが高くなることもあります。でも食べないよりは食べた方がいいです。こうやって食事を変えてみて、以前に比べて体調に変化はありましたか?

全力:はい、特に後半の疲労度が変わったような気がします。試合4時間前から固形物はいっさい取らなかった以前は後半の途中に疲れ果ててしまってパフォーマンスを出し切れなかったのですが、今ではしっかりと90分戦えていますし、疲労も残りにくくなりました。

川﨑:それは良かったです!やっぱり、試合前に食べるようになったことで必要なエネルギーがしっかりと摂取できているということだと思います。誰でも食生活を急に変えるのってなかなか難しいのかもしれないですけど、選手たちを見ていても、やっぱり、食事が変われば体もどんどん変わっていきますからね。急に成果が表れるというものではないですけど、変化は目に見えてわかるので全力さんもぜひ続けてください。ちなみに全力さん、体重の変化はありましたか?

全力:いや、ほとんど計っていなくて……。

川﨑:ぜひ計ってください。できれば、体脂肪が計れるものを使って。選手たちは体重を軽くしようと思っている方が多いんですけど、体重を落とすよりも体脂肪を減らすことが大切だと伝えています。みんな筋肉がついてくると体重は上がってしまうのでなかなか効果がないと思いがちですけど、体重よりも、体脂肪率を気にしてみるといいですよ。

全力:わかりました。あと、試合前後だけじゃなく普段の食事も少し気になっていて……。夕食は家で食べることが多いんですけど、ラーメンが好きで、お昼とかにはよく食べます。やっぱりラーメンはやめたほうがいいんですか……?

川﨑:選手たちにはあまりオススメしないですけど、食べてはダメということはないですよ。野菜のあんかけのラーメンなら野菜も摂れますし、麺は炭水化物なので体に必要なものなので。ただ気をつけてほしいのはやっぱりスープ。あれは塩分量がすごく多いので、飲み干すのはやめたほうがいいですね。あと食べるなら、とんこつラーメンのようなコッテリ系ではなく、あっさり系のものをチョイスするといいですよ。

全力:わかりました。好きな食べ物つながりで言うと、コーラも好きで、試合後とかけっこう飲むんです。あれもあまり体にいいものではないと思うんですけど、どうでしょう。

川﨑:私もコーラは好きですよ(笑)。でも水分補給という観点では体の栄養になるものは全く入っていないので、体にいいということはありません。とはいえ、どうにも体が疲れているときとか、思考が回っていないようなときは、パワードリンクみたいな意味で飲みたくなっちゃいますよね。たまにはいいかなと。

全力:良かったです。普段から飲んでいるわけではないですけど、やっぱり試合後に疲れていると飲みたくなっちゃうんです。なんか、疲労回復にいいとも聞いたので……

川﨑:疲労回復に効くということはないですね。カフェインが入っていて、糖分もかなり入っているじゃないですか。だから脳の回復にはいいかなとは思いますよ。体が疲れているときって、脳も疲れているんですよ。糖分を取れば血糖値が上がるので、思考回路がよみがえってくるとか。でもアスリートは、同じ糖でも、砂糖のほうの糖ではなく、炭水化物のほうの糖をしっかり摂ってほしいですね。

全力:ちなみに先生はアビスパの栄養アドバイザーになられたとのことですが、プロの選手たちがどんな感じなのか気になります。

川﨑:キャンプや試合の時に(毎回ではありませんが)福岡に行って、トップチームの選手たちの栄養管理や、アドバイスをしています。ポジションによって体の状態やケガの具合も違うので、それぞれ個別に相談を受ける体制を整えています。選手たちはプロのアスリートですから栄養のことは知っている方が多いです。勉強してる選手もいますよ。先日はアカデミー選手(アンダーカテゴリー)の保護者の方へ栄養セミナーも行いました。アビスパ福岡は食事の面で育成選手にも力を入れています。昨年は町田ゼルビアの育成年代の選手の栄養サポートをやっていましたけど、真剣に取り組む選手が多かったです。

全力:食事と栄養が重要視されてきたのもここ数年のような気がします。

川﨑:私の時代には「とにかく肉やご飯を食べろ、牛乳を飲め」みたいに漠然としていた感じだったと思うんですよね。ここ数年は、食育とか、スポーツ栄養という言葉が出てきてやっと変わってきたなと思います。若い選手たちはいま、かなり野菜を食べるようになりましたね。でも昔に比べると肉を食べる量が減っているかなという感じもします。バランスの良い食事を心がけることが大切です。

全力:今日はありがとうございました。新たな質問にも答えてくださり、今回も勉強になりました。

川﨑:いえいえ。私は福岡にも行ってますので、ぜひアウェイの遠征でも来てください。福岡はおいしいものも多いので。ちなみに全力さんって嫌いなものとかないんですか?

全力:鳥の皮ですね。まだカリカリになっていたらなんとかいけるんですけど、グニュっていう食感が苦手で。豚の脂身とかも。だから、もつ鍋もあまり……。

川﨑:福岡に来ても、とんこつラーメンも、もつ鍋も食べられなくて残念ですね(笑)

文・写真/木村雄大

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川﨑泰代(かわさき・やすよ)
フードコーディネーター。アスリートフードマイスター。食育インストラクター。IHクッキングクリエーター。小学生のころよりバレーボールを始め、以来スポーツが生活に欠かせないものとなる。「走るフードコーディネーター」として、自らもフルマラソンに挑戦するなどアスリートとしての顔も持つ。自身の経験から「強い体と心は『食事』で作られる」と言うコンセプトのもと、一般アスリートからトッププロまで幅広く食事を指導。テレビ、ラジオ、雑誌などメディアでも活動している。2019年シーズンより、Jリーグ アビスパ福岡の栄養アドバイザーを務めている。
公式HP

全力さん(本名:加納広明)
サッカー日本代表、東京ヴェルディのサポーターとして、常に全力応援でチームを鼓舞し続けている。アウェイ遠征時には相手チームのサポーターに囲まれて記念撮影を求められるなど、日本サッカー界で最も有名なサポーターと言っても過言ではない。なお年齢・職業は非公開とのこと。