吉田篤の「高密度BODY」レッスン①「動きの方向性」を工夫すれば、トレーニング効果はより高まる!

フィットネスクラブなどで筋肉トレーニングをした後、「より元気が出たとき」と「かえって疲れ切ってしまったとき」など、満足度が変わることはありませんか? それは、トレーニングのし過ぎや睡眠不足、栄養不足といったことではなく、“正しい感覚に沿った身体の使い方”をしていないからかもしれません。ムダな力を使わずに、効率よく身体を使うボディワーク「アレクサンダー・テクニーク」のプラクティショナーである吉田篤さんに、身体に眠るエネルギーを蘇らせるワークについて教えていただきました。

 

トレーニング時の身体動作を間違えると、エネルギーが漏れて、疲れやすくなる

吉田篤さんが教えるのは、海外のボディーワーク「アレクサンダー・テクニーク」を元にしたメソッドです。アレクサンダー・テクニークとは、オーストラリアの俳優である、F.M.アレクサンダーが創始した身体教育法のこと。アレクサンダー氏は舞台で声が出なくなるというトラブルが起こったとき、自分には首の緊張があると気づき、それを解消すると声が出ることを発見しました。その後、首が力みなく胴体の上に乗ってバランスがとれていると、身体に力みが生じず、演技やダンス、演奏が劇的に良くなることを知り、その方法を体系化しました。
「このアレクサンダー・テクニークは、結果的に身体に眠る『自己調整作用』を引き出します。私もかつて極度の緊張があり、呼吸が浅くて苦しく、頭がまわらない状態でしたが、これを始めると、身体がすっきりとラクになりました。それを続けていくと『辛くても頑張る』『嫌だけど努力する』という思い込みまでもなくなり、『楽しく生きる』という方向性へ人生が大きく変わりました」(吉田さん)

そのため吉田さんは、過緊張になってしまう人に向けて、身体をリラックスさせる指導を主に行ってきました。ところが……。
「最近の人は、緊張するどころかすでに脱力して疲れていることが多くなってきています。何をするにもやる気がない状態で、たとえるなら、エネルギーが漏れ出ているような印象です。VITUP!の読者のように、日常的に運動している人はエネルギーの低下や漏れはまずありませんが、運動不足の状態からいきなりトレーニングをしようと意気込む人はそうなりやすいかもしれません。せっかくトレーニングしたにもかかわらず、元気になるのではなく、エネルギーが漏れて、かえってヘトヘトになってしまうのです」(吉田さん)

エネルギーが漏れて低下した状態になると、実態のない不調が現れやすくなります。骨折もしていないし、検査しても胃腸もどこも悪くないにもかかわらず、調子は相変わらず悪い。吉田篤さんの「高密度BODY」メソッドは、そんな現代人がエネルギーアップをはかるためのトレーニング法です。

エネルギーを内部に圧縮させると、活力が出て、どんどん元気になっていく

まず、「エネルギー漏れはなぜ起こるのか?」ということについて解説していきましょう。
その理由は、筋肉の動かす方向性――つまり動きによって起こる「身体のエネルギーの方向性」が間違っているためです。
「気功や太極拳では、気の流れが良くなるような動きをしますが、実のところ、トレーニングも同じなんです。血液やリンパ液の流れなどとはまた違う流れが、人体にはあるのです」と吉田さん。

このメソッドでは、赤ちゃんの原始反射と筋反射などのメカニズムなどを元に、身体全体のエネルギーの流れを改善していきます。
「たとえば赤ちゃんを持ち上げるとクルっと反り返ったり、筋肉が鍛えられていないのにもかかわらず、スッと歩くことができますよね。幼児期は誰もが反射作用を持っていて、エネルギー漏れのない、ムダのない動きをするわけです。ところが成長して筋肉がついてくると、バランスのとれた力みのない動きよりも、力づくで何とかしようとしてしまう」(吉田さん)

パワーで押すのも悪くはありません。しかし、身体のエネルギーをときに筋肉で制御してしまうという弊害もあるのだとか。「高密度BODY」メソッドは、太極拳などのように身体の動かし方を工夫することでエネルギーを中心に寄せ集め、内部圧縮させていきます。重力の作用/反作用から生じる筋肉の反射作用を利用して、内側の感覚を高めていくのです。圧縮といっても、身体の内側へとエネルギーを方向付けるだけなのですが、外側から働きかけるパワー系のトレーニングとは異なり、身体の内側からエネルギーが生じるので、結果的にものすごい運動量になるそうです。
「内部圧縮が起きると、身体の中に眠っている自己調整作用が沸き起こるので、トレーニングをすればするほどやる気が出てきます。アレクサンダー・テクニークでは、これを『プライマリコントロール』と呼びます。軍隊的にスパルタで鍛えるのではなく、自然と自分で自分を高めていける方法なんですよ」(吉田さん)

2と3の記事でこのやり方を紹介します。ぜひ試してみてください。

(2へつづく)

 

取材・文/三島衣子

写真/安多香子

吉田篤(よしだ・あつし)
東京・門前仲町「Brain Free」代表。英国にて、「ボーエン テクニック」「アレクサンダー・テクニーク」「クラニオセイクラルセラピー」を習得。それらをベースにした独自の身体教育メソッドを多数開発。著書に、『頭蓋骨をユルめる!』『首からユルめる!』、監修DVDに『クラニオセイクラル・セラピー入門』『アレキサンダーテクニック』(いずれもBABジャパン刊)。