ランニングをはじめる前に【金哲彦の教える“正しい走り方”③】

フィットネスに親しんでいる人や、過去に部活などで運動をしていたことのある人のほとんどが“自分は走れる”と考えているのではないでしょうか? でも、プロのコーチから見ると、多くの市民ランナーは“正しく走れていない”ようです。そこで、市民ランナーからオリンピックを走るアスリートまで、幅広いランナーを指導するプロランニングコーチの金哲彦さんに“正しい走り方”についてレクチャーしてもらいます。

歩けなければ走ることはできない

ダイエットや健康のためなど、ランニングをはじめるきっかけは人それぞれですが、「ランニングをはじめよう」と思いついた日にいきなり走るのはやめたほうがいいでしょう。今まで体をあまり動かしてこなかった人はもちろん、過去に運動をしていた人でも久々に走るのであれば気をつけないとヒザを痛めたりしがちです。

私がおすすめしているのは、まずウォーキングからはじめること。歩くだけ!? と思われる方もいるかもしれませんが、みなさんは日常生活でどれくらい歩いていますか? 現代人は意外と歩いていないものです。歩いていないのに、いきなり走るのは体にとって負担です。それで関節が痛くなってランニングが続かないという人が本当に多いので、焦らずにまずはウォーキングからはじめましょう。

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ただ、散歩とは違いますので早歩きで行うことが大切。はじめは10分、15分でも構いません。最初は距離より時間を目標にしたほうがいいでしょう。早歩きで1時間歩けるようになれば、ランニングのための下準備は整ったといえるでしょう。体力や年齢にもよりますが、だいたい数週間でできるようになると思います。

もう1つ気をつけていただきたいのは、専用のランニングシューズを用意することです。ウォーキングレベルであれば、普通のスニーカーでも大丈夫ですが走るようになると、着地した際の衝撃が飛躍的に高まります。平地でも体重の3倍、下り坂では5~6倍の負荷が関節にかかりますので、きちんとしたランニングシューズを用意しましょう。初心者はレース用の軽量のものではなく、底のクッションが厚いものを選んだほうがいいですね。最近のランニングシューズは着地の衝撃を吸収するだけでなく、前への推進力に変えてくれるものもありますので、グングン進んでいく感じが体感できるはずです。


金哲彦(きん・てつひこ)
プロランニングコーチ、駅伝・マラソン、陸上競技解説者、ランナー。福岡県北九州市門司区出身。早稲田大学教育学部卒業。在学中競走部に属し、中村清監督の下、箱根駅伝で活躍。卒業後はリクルートに入社し、陸上競技部を創設。1987年には別府大分毎日マラソンで3位に入る。1995年より同部監督に就任。同部の消滅後は、陸上のクラブチーム・ニッポンランナーズを創設する。現在は、テレビのマラソン・駅伝中継の解説も務める。
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