尻トレをブームで終わらせたくない
“尻トレブーム”の火付け役とも言える岡部友さんはそう言って笑う。お尻のトレーニングの魅力は「鍛えたらつくれる」ことだ。
「脂肪がどこにつくとか、どこから落ちるとかはコントロールができないんです。ただ、筋トレはどこにつけて、どこにつけないようにするかをコントロールすることができます。やり方しだいで、お尻につけても太ももは太くしないということができる。遺伝に左右されずにコントロールできるので、全員が目指せるところなんです」
美尻コンテスト『FITNESS ANGEL』で優勝したアミン・カレダさんもトレーニングを始めた当初は「食べないダイエットをしていたのでお尻はありませんでした」というが、岡部さんのトレーニングによって、ふくらみがありキュっと引き締まって上向きの理想のヒップを手に入れることに成功した。ヒップスラストは30㎏からスタートし、今では100㎏を持ち上げるまでになっている。
美尻ブーム、尻トレブームと言われる昨今、岡部さんはこの尻トレをブームで終わらせたくないという。
「今、尻トレは注目されていますけど、ブームでは終わらせたくないんです。お尻の筋肉は二足歩行をしている人間全員に必要な筋肉だからです。女性の場合、美しくなるために尻トレをがんばっていたら機能的にも回復していたという流れがあってもいいし、その逆でお年寄りや仕事で座ってばかりの人たちが、機能的な回復を求めて尻トレをした結果、見た目が美しくなったというのでもいい。どちらにしろ、お尻の筋肉は必要なんです」
アミンさんの場合もトレーニングで女性らしいヒップラインを手に入れると同時に機能的にも変化があった。
「座っているときに体が丸まってしまう癖があったのですが、お尻を鍛えたことによって安定して座れるようになり、姿勢が良くなったと言われます」(アミンさん)
「前傾の人と後傾の人、骨盤のタイプによっても鍛え方は違います。脂肪や筋肉がつくスピードも遺伝があるので、そういう意味でもフィジカルなことは人と比べてもしょうがない。以前の自分と今の自分の変化を見たほうがいいと思います。みんながみんなミランダ・カーになれるわけではないので、前の自分よりよくなっているというのを実感しながら自信をつけていけばいいと思います」(岡部さん)
尻トレに限らず、トレーニングは人と比べるためのものではない。自分で自分の体を磨くことで成功体験を得られることがその魅力だ。岡部さんはトレーニングの素晴らしさをこう語る。
「どんなにお金があっても、どんなに学歴があっても、筋トレだけは自分でやらないと変わらない。みんなが平等だし、だからこそ価値があるんです」
取材・文/佐久間一彦
写真/神田勲