【鉄人アスリート】サッカー・土屋征夫①~鉄人センターバックの礎を築いたブラジル留学~

スポーツ界の鉄人を紹介していくこのコーナー。今回登場するのは、43歳までJリーグでプレーし、現在も地域リーグでプレーを続けるセンターバック・土屋征夫選手。衰え知らずの身体能力、そして燃え続けるモチベーションの秘訣とは?まずはそのサッカー人生のはじまりから。

高校での3年間はプレーなし
異色の経歴でJリーガーに

2017年はJ1リーグのヴァンフォーレ甲府に所属し、YBCルヴァンカップでは「カップ戦最年長ゴール」(2018年9月現在)を記録。シーズン途中のJ2・京都サンガF.C.への期限付き移籍を経て、2018年シーズンからは、関東サッカーリーグ1部(J1、J2、J3、JFLに次ぐ”J5”にあたる)に所属する東京23FCでプレーしている土屋征夫。まずは、そのサッカー人生を聞いていく。

――44歳になった今も現役としてプレーを続ける土屋選手ですが、Jリーガーになるまでの経緯は少し異色ですよね。

土屋:東京で生まれたあとにすぐ千葉県に引っ越して、そこでサッカーを始めました。その後、東京に戻ってきたときに「やるなら強いチームで」と思ったので、三菱養和SCに入団しました。ただ、中学3年の最初の頃にやめちゃったんですよね。

――これからサッカーが楽しくなってくる、という時になぜ?

土屋:文京区に住んでいたんですけど、中2のときに武蔵野市に引っ越したんですよ。巣鴨にある養和の練習場からは遠くなったっていうのもあるんですけど、思春期なのでいろいろと出会いもあるじゃないですか。

――いろいろ……?

土屋:都心から離れたところだから、ちょっとやんちゃな、そっち系のね(笑)。そいつらと遊ぶようになったら、サッカーはまぁいっかみたいになっちゃって。

――なんとなくお察しします(笑)。でも、田無工業高校ではサッカー部に入部するんですよね。

土屋:そう。やっぱりサッカーは好きだったからサッカー部に入ったんですけど、弱いチームなのに先輩後輩の上下関係がやたら厳しくて。1、2週間くらいでもういいやってなっちゃいました。

――都内の名門クラブである三菱養和でやっていたのならそれなりに実力はあったと思うのですが、強い高校に入ろうとは思わなかったんですか?

土屋:サッカーは好きだったけど、そこまで意欲みたいなものはあまりなかったんですよね。あと頭もそんなに良くなかったから、高校を選べるような感じでもなかったので。だから、家から近かったところに入りました。

――高校3年間はまったくサッカーをやらなかったんですか?

土屋:まぁ体育の授業くらいですね。一番うまかったですよ(笑)。

――そんな中、高校卒業後はブラジル留学を決意するわけですよね。その経緯を教えてください。

土屋:正直な話、仕事をしたくなかったんですよ(笑)。大学に行ける学力もない、だったら働くしかない。でもプー太郎とかフリーターみたいになるのはあんまり良くないと思っていたら、たまたま雑誌を見ていたらブラジル留学っていうのがあって。当時はJリーグが開幕した年でサッカーが盛り上がっていたし、もう勢いみたいな感じで決めました。ブラジルへは日本人が数十人くらい一緒に行きましたね。

――ブラジルはどんな環境でしたか?

土屋:もう、いろんな面でヤバイの一言ですよ。3年もまともにサッカーやってないから周りに比べてヘタクソだし、ケガもするし。もちろん言葉も通じない。僕の行ったチームはスタジアムの中に寮があったんですけど、ご飯を作ってくれるおばちゃんが来なくてご飯が出てこない場合もあるし、電気や水道が止められたこともあった。汚いプールの中でシャンプーしたこともあったし。まぁメンタル面では鍛えられましたけど(笑)。

――ちなみに、そのときにいた町の名前が、土屋選手のあだ名「バウル」の由来となったんですよね。

土屋:そうです。バウルーというところで、ブラジルの中では割と大きな町でした。

――それだけ過酷な環境だと、リタイアする人もたくさんいたんじゃないですか?

土屋:遊び感覚で来ている人もいたし、真剣にサッカーをやりに来た人でも苦しくて帰っちゃう人もいました。僕も2年経ったときに親父に連絡して、「サッカーもついていけないしケガも多いから帰りたい」って言ったんですけど、「ダメだ、帰ってくるなって」。

――厳しいお父様だったんですね。

土屋:いや、めっちゃ優しいですよ。だって、高校3年間遊んでたやつをブラジル留学に行かせてくれたんですから。僕はいま子供が6人いますけど、そんな息子が「ブラジル留学行きたい」なんて言ったら、「ふざけんな」って言いますよ(笑)。今思うと、留学に行くことで少しは大人になって帰ってくれば……という思いがあったのかもしれませんね。本当に両親には感謝しています。

★次回は日本に帰国し、Jリーグ時代の話を伺います。

取材/木村雄大 撮影/須﨑竜太

土屋征夫(つちや・ゆきお)
1974年7月31日、東京都出身。高校卒業後の3年間のブラジル留学を経て、1997年にヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)に入団。1999年にヴィッセル神戸に移籍し6年間プレー。その後、柏レイソル(2005年)、大宮アルディージャ(2006年)、東京ヴェルディ(2007~2012年)、ヴァンフォーレ甲府(2013~2017年、2017年途中から京都サンガF.C.に期限付き移籍)と渡り歩き、2018年から東京23FCに移籍。身長177cm、体重73kg。身体能力を武器に活躍するセンターバック。★東京23FCのホームページは→こちら
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↓第1回教室の模様は下記からご覧いただけます。
https://ameblo.jp/tokyo23footballclub/entry-12397148206.html