「どんなスポーツにも役立つメソッド」【ピラティスの基本を知る<後編>】




ピラティスの基本を知るこの企画。ピラティスはスポーツをやっている人にも有効なのか。前編に引き続き、FTP Basic マットピラティスマスタートレーナーの柳本真珠子さんに解説してもらった。

――ピラティスに流派のようなものはあるのでしょうか。

「創始者のジョセフ・ヒューバタス・ピラティスさんには愛弟子さんが複数いらっしゃいました。主に6人の方から、現在に伝え継がれています。みなさんそれぞれにピラティスさんの他界後、ピラティスを後世に伝える活動をされています。
その中でいくつかの団体ができました。団体によってエクササイズ名やコアの定義が違うことがあります。ですが、もとをただせばいずれの団体もジョセフ・ヒューバタス・ピラティスさんから派生したものですから目指すところは共通している。と、私は個人的には考えております」

――どういった方がレッスンを受けにくるのでしょう。

「運動が嫌いな方、ケガや病気の後リハビリを医者にすすめられた方、心身を鍛えたい方、姿勢を整えたい方、腰が痛い方、何か始めたいけれど何からやればよいのかわからない方、いろんな方がいらっしゃいます」

――様々な方に適用できるのですね。

「そうですね。国や性別・世代が違っても共通して行えるメソッドです。その理由はピラティスさんのバックグラウンドにも関係があるのだと思います。
ピラティスさんはドイツ人なのですが、戦時中はイギリスのマン島に移送され、その後アメリカに移住しスタジオを持たれました。グローバルに活動し、西洋東洋の両方の身体訓練法を勉強されています。また幼いころはくる病・喘息・リウマチ熱などで体が弱く、それを克服するためにヨガやボディビルなど、いろんな経験をされていたそうです。14歳のときには、解剖図のモデルができるほどの体格になったと伝えられています。
ピラティスさんは生徒さんに対して瞬時に『この人には何のエクササイズが必要なのか』を見抜く力が備わっていたと言われています」


――お話を伺っていると、今でいう「ファンクショナルトレーニング」に近いものも感じます。

「はい、機能的に動かすことのできる体づくりという意味で共通していると思います。軸を安定させた状態で体を動かすと、腕なら腕だけ、脚なら脚だけというのではなく、その動きに必要な筋肉群がチームとして連動して動くようになります。例えば、階段を上り下りする動作もきちんと機能的に動かすことができれば 股関節周りだけでなく臀筋やハムストリングスまで効いてきます。その動作に携わる筋肉群を総動員していくことにより各パートの負担が減り、動作自体とても楽になります」

――スポーツにも応用できそうです。

「はい、ピラティスはスポーツをする人にもしない人にも、そしてどんなスポーツにも役立つメソッドだと思います。ピラティスさんはいくつかの格言を残しているのですが、その一つに『10レッスンで気分が良くなり、20レッスンで見た目が良くなり、30レッスンで体が生まれ変わる』というものがあります。何度も繰り返し練習することで体の使い方が変わることを意味しているのだと思います。私自身、ピラティスを始めてから健康で疲れにくく体の調子がとても良いです。4年前に骨盤骨折をしましたが、回復も驚くほど早く、現在も後遺症はまったくありません。これからピラティスに取り組まれる方、またすでに取り組まれている方、ぜひご自身の健康メソッドとしてピラティスの効果を実感していただければ幸いです」

聞き手/藤本かずまさ

柳本真珠子
FTP Basic マットピラティスマスタートレーナー。
4歳から18歳まで小林紀子バレエアカデミーで学び、結婚後ウォーキング講師である母の影響を受けウォーキングマナー資格取得。
3人の子ども達の育児中ピラティスに出逢い資格を取得。
以来、ウォーキング、ピラティス、バーワークスの指導、人材育成にあたる。
FTPJAPAN公式HP http://www.ftpjapan.net/