シリアスに鍛えるトレーニーはトレーニングの種目や頻度だけでなく、食事にも気を使うものである。余計な資質や炭水化物はいらない。でも、筋肉の材料となるタンパク質はたくさん摂取したい。
そういった条件を満たす食事を外出先で摂るのは意外と難しく、ストイックな減量に励むアスリートなどは自炊して、お弁当を作って、それを携帯するなどして外食を極力避ける傾向にある。栄養にうるさいガチなトレーニーが安心して食事を楽しめるお店は意外と少ないのだ。
2015年11月、そんなガチトレーニーたちをザワザワさせるお店が東京・六本木にオープンした。その名も「筋肉食堂」。なんでも「カラダづくりを志す人のための美味しい高タンパク・低カロリー食レストラン」なんだという。16年11月には水道橋に2号店もオープン。ガチトレーニーを自認する取材班が店舗に突撃してみた。
「僕はもともとパーソナルトレーナーだったんですが、クライアントさんにお勧めできる飲食店があまりなかったんです。アメリカには、たとえば『プロテインハウス』という高タンパク食を提供する、トレーニングをしている人たちのための飲食店がありますが、日本にはまだなかった。そういったお店ができたら通いたいとは思っていたんです」
そう語るのは「筋肉食堂」マネジャーの谷川俊平さん。谷川さん自身がガチトレーニーなだけあり、ここには鍛えている人たちのツボを押さえたメニューが揃えられている。
「メニューは『おいしい料理をつくりたい』という料理人と、『こんな料理があればいい』というトレーナーの意見を寄せないながら決めていきました。かなり試行錯誤しました」
たとえばこれ。鶏ムネ肉はガチトレーニーがよく口にする食材の一つ。しかし、あのパサつきが苦手……、という人も多いはず。
「だから、食感、食べ応えにはすごくこだわりました。蒸し焼きにしているので、パサついていません。塩、コショーだけでも食べていただけるように調理しています」
最初から皮をはいで焼いているところがなんとも心憎い。ムネ肉よりも食べやすいが脂質が多いモモ肉も皮をはいで提供。余計な脂質をカットすることでカロリーを抑えている。
さらには、日本のレストランではなかなかお目にかかることがない、卵白だけのオムレツも。当然、全卵を使用したオムレツより低カロリーとなっている。
「白身だけですが、フワフワです。中にはささみが入っていて、少し味噌を加えているので味もしっかりとついています」
サラダとスープがつくセットメニューはAが白米、Bが玄米。減量食でもある玄米が選べるところがガチトレーニーの心を知りつくしている「筋肉食堂」らしい。さらにCセットでは、ローカーボダイエット中の人ために、白米、玄米の代わりにキャベツがチョイスできる。
サイドメニューには、ボディビルダーが喜ぶこんなものも。どちらもボディビルダーの食事、いわゆる「ビルダー食」には欠かせない食材だ。
デザートにもガチトレーニーを喜ばせる工夫が。この美味しそうなシフォンケーキ、カロリーはたったの98㎉。ケーキなのにタンパク質は8.3gも含まれている。
「小麦、砂糖は一切使用していません。プロテインの甘みのみで味付けしています」
「今後はデリバリーにも力を入れていきたい。こういった食事を求めている人に、求めているタイミングで提供していきた」という谷川さん。筋肉をこよなく愛するトレーニーにとって、トレーニング後も食事は重要な意味を持っている。そこのタイミングで、いかにしてタンパク質を摂取するか。ジムでのトレーニングを終えたあと、フロントにこういった食事が届けられていれば、かなりステキであり。美味しく食べて体をつくりたいという人は、筋肉をタンパク質と味の両方で喜ばせる「筋肉食堂」へ!
取材・文/藤本かずまさ 写真提供/筋肉食堂