全身を効果的に鍛えてくれる
リズミカルで躍動感があったと絶賛の「海軍体操」。では、いったいどのような体操だったのか、昭和17年9月公布「海軍体操教範」から見てみよう。
同教範によると局部運動が6、全身運動が6で合計12種類ある。そのうち今回は局部運動(下肢、上肢、首、胸背、腹腰、調息)を抜粋して画像によって紹介する。ことさら運動効果の説明はするまでもなさそうだが、画像を見ていくとけっこう厳しい体操を行なっていたことが分かる。
海軍の予科練の受験生は満14歳から満19歳まで。海軍兵学校は満16歳から満19歳までだから、まだ体が柔らかい年頃だからできるが、短期現役士官(大学、専門学校卒業生を対象にした海軍士官候補)ともなると20歳を超えているため、身体も硬くなりつつあって、さぞや大変だったことだろうと思われる。
◆下肢運動
画像1は左足を伸ばして右手で支え、左ひざが曲がらないように左手で押さえる。つまり、右足1本で立っている状態。左右交互に行なう。
画像2はよくある体操だから説明はいらないだろうが画像3は相当にきつい。よく体操選手の床運動で見かけるが、上体をまっすぐにして左足を前に伸ばして、そのまま右ひざを全屈して体を落とす。そして再び、上体を元に戻すというもの。この場合、両手は前に出してバランスをとるが、単独ではむつかしいので2人で組んで行なうことも良しとする。
◆上肢運動
画像4は両腕を肩の高さで前から後ろに振り、反動で前に戻してから振り下ろすもの。
◆首運動
画像5は仰向けに寝て、両腕を広げて頭を前に曲げてから元に戻し、今度は胸を張りながら頭を後ろに曲げるもの。
画像6は2人組で行なうもので相手が図のように寝て実行者の頭を両手で支える。実行者は体を伸ばす。
◆胸背運動
画像7は両足を開き、両腕を肩の高さに前にあげて体を捻転させながら両腕を開く。
画像8はまさに図のように体を側方に曲げる。
画像9は伏して両腕を飛行機のように広げて、胸を反らせる。
◆腹腰運動
画像10はよくストレッチでも行なうもので、右手で左足首を握る。それを左右交互に行なう。
画像11は2人組で行なう。実行者は膝立てして上体を後ろに反らせる。相手は膝を押さえて支える。
画像12は懸垂して両足をそろえて前にあげる。
◆調息運動
画像13は開脚して手は腰に置き、下腹部を前方に拡張して呼吸をする腹式呼吸である。
以上が各部位の運動になる。一度試してみてほしい。次回は全身運動を紹介しよう。
文/安田拡了