自動車メーカーもパラ・アスリートを意識する時代
2年に一度開催され、今年で45回目を数える東京モーターショー。自動車メーカーや部品メーカーなどが、乗り物の未来を提案するコンセプトカーを出展していますが、1台気になるコンセプトカーが目に止まりました。それがトヨタ車体の出展していた「LCV CONCEPT(ライト・コマーシャル・ビークル コンセプト)」という車両。トヨタ車体はトヨタ自動車の商用車やミニバン、それに福祉車両などを手掛ける車体メーカーですが、次世代の商用車の形として提案していたのが「LCV CONCEPT」です。
フラットで低い床になっているのは、おそらく動力として電気モーターを想定しているためでしょう。エンジンを搭載しない電気自動車は設計の自由度が高くなるのが特徴だからです。
しかし、気になったのは車体そのものではなく、その車内スペースの活用法を展示していた部分です。下の写真にある展示のコンセプトは“車いすアスリートのためのトランスポーター”。低くフラットな床を活かして車いすで助手席の位置まで乗り込むことができ、後の荷室スペースには競技用の車いすも積むことができます。そして、車内で車いすのメンテナンスもできる設計だとか。
モーターショーで展示されるコンセプトカーには、ユニバーサルデザインをうたったものも多いですが、ここまで具体的に車いすアスリートをターゲットにしたものは記憶にありません。ブースの担当者に話を聞いたところ「トヨタ車体は福祉車両を手掛けるメーカーなので、何が車いすユーザーにとって使いやすいかというノウハウもあります。トヨタは2020年の東京オリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナーなので、グループとしてパラ・アスリートをサポートするコンセプトを示すものです」とのこと。2020年に向けて、パラ・アスリートをサポートするムーブメントも大きくなっていますが、自動車メーカーも例外ではないようです。
取材・文/増谷茂樹