10月の日本選手権大会が終了すると、日本のボディビル界はそこでひと段落。フィジーク系のコンテストやJBBF以外の団体の大会は開催されるものの、業界的には一応のオフシーズンに入る。
そして新たに始まるのが世界選手権のシーズン。11月2日から6日まではスペインで世界男子選手権、10日から13日まではルーマニアで世界ジュニア、世界マスターズ選手権、12月1日から4日まではフランスで世界フィットネス選手権が行われる。
争われる競技は、世界男子選手権は男子ボディビルと男子フィジーク、世界ジュニア&世界マスターズ選手権は男子ボディビル、女子フィジーク(女子ボディビル)、ボディフィットネス、フィットネスビキニ、世界フィットネス選手は女子フィジーク、ボディフィットネス、フィットネスビキニ。VITUP!でも取材している鈴木雅は世界男子選手権、スーパー高校生の相澤隼人は世界ジュニア選手権に出場する。
昨年2016年、鈴木は世界選手権80kg級を制覇。また同年3月にはもう一つの世界戦、アーノルドクラシック・アマチュア選手権でも優勝。世界大会2冠という快挙を達成し、さらなる高みへと到達した。今年2017年の日本選手権でも優勝し、同選手権8連覇を達成している。
しかし、今年はケガや体調不良にほんろうされ、満足のいく仕上がりでステージに立てたわけではなかった。自己採点は「20点」。こんなに不甲斐ない年は過去にもなかった、という。
「世界選手権ですか? 出場するかどうか、2、3日考えます」
試合直後の鈴木にコメントを求めると、こんな言葉が返ってきた。日本選手権で優勝したので、当然のことながら世界選手権出場の切符は手に入れた。しかし、何かが心に引っかかり、「出場します」とは即答できずにいた。
だが、「出場しない」ことを選択するのは簡単である。鈴木は気持ちを切り換え、スペインに向かった。
今年、世界選手権を主催している国際ボディビル・フィットネス連盟は2派に分裂。その影響で世界選手権への出場資格に大きな変化があり、参加選手のレベルは格段に上昇したとか。5日に行われた80kg級の試合。鈴木はフリーポーズの際に音楽が途切れ、ポーズがとれなくなるというハプニングにも見舞われた。結果は4位。昨年よりも大きく順位を下げることになった。
日本選手権おける不調によって、鈴木は「自分のトレーニング内容を変えようという決心がついた」という。つまづきは、ときには次のジャンプにつながる材料になる。昇りつめたからこそぶつかった壁。来年は、新しい鈴木雅に出会えるかもしれない。