「えっ、僕はキックのセンスあるんですか!?」
前田会長「パンチのワンツーフックまで覚えたところで、今度はミドルキックをやりましょう」
林マネジャー「おお、ついにキック習得の時がきましたね。小橋さん、待っていてください。シャーッ!!」
前田会長「まずは、構えた状態で走る時の腕の動きをイメージして、大きく振り上げてみましょう」
林マネジャー「走るイメージで、腕を大きく振り上げると。戦隊ものの変身ポーズみたいですね」
前田会長「(無視して)その時に、前足の軸足に頭が乗るように意識してください。さらに上げた腕を下げる反動を利用して、右足をミットの上を越えるように蹴り上げます」
林マネジャー「腕を振り上げて、下ろしながら右足を上げる。先生、難しいです」
前田会長「蹴る時は、軸足の上に頭が乗っている感じを意識してください。床から頭の先まで、真っ直ぐに繋がっているようなイメージです」
林マネジャー「床と天井から真っ直ぐに繋げて……と。こんな感じですかね」
前田会長「はい、できた!!」
林マネジャー「え、もうですか?」
前田会長「林さんは、センスがいいですね。今度は逆足の左ミドルキックです。これも走る腕の振りです。左腕を振り上げて、軸足を返してヒザを軽く曲げて、左足で蹴り上げると同時に左腕を下ろして反動をつけます」
林マネジャー「先生、カッコいい!!」
前田会長「(無視して)林さん、やってみましょう!!」
前田会長「林さん、軸足を返して……」
林マネジャー「こうですかね」
前田会長「うまい! 一番、いいですね。左の蹴りが得意なんですね」
林マネジャー「え、そうっすか。意識したことなかったんですけど。たしかに、スムーズに出るかもしれません」
前田会長「僕も現役の頃は、左ミドルが得意だったんです。左は自分を守るための蹴りなんです。右構えの相手に対して、カウンターを合わせやすい蹴りなんですよ」
林マネジャー「なんか、来て良かったです!」
前田会長「では、ミット打ちをやりましょう」
林マネジャー「待ってました!」
構成/松井孝夫
―次回予告―
涙。女子中学生と鬼特訓