“筋トレ美容室”を生んだカリスマ美容師・川島悦実①【人物クローズアップ「筋の旅人」】




集中連載「はじめてのパーソナルトレーナー」のコーナーの舞台となったのが、“筋トレ美容室”こと「UR CASTLE」。美容室にジムを作ってしまった、ぶっ飛んだ発想の持ち主が、川島悦実だ。人は彼のことを「カリスマ」と呼び、またある人は「天才」と称する。「アクセルしか持っていない人」と言われることもあれば、「ハッピーマニア」の異名も持つ。トレーニングに魅せられた“カリスマ美容師”川島悦実とはいったいどんな人物なのか?

体重90キロ、体脂肪39パーセントからのスタート

――まずは川島さんがトレーニングを始めることになったきっかけから教えてください。

川島 4年ぐらい前のことなんですけど、手がしびれて頭痛が止まらなくなって、20年来のお客様にドクターの方がいたので全身を診てもらったんです。そうしたら「これは死ぬよ」ってハッキリ言われました。

――体調に問題があったということですか?

川島 γ-GTPが振り切った状態だったんです。これ以上いったら死ぬという量の10倍ぐらいの数値になっていて、「痩せないと死ぬから」と言われて、さすがにまずいと思ってトレーニングを始めることにしたんです。

――当時の体重はどれくらい?

川島 90キロぐらいありました。体脂肪は39パーセントです。大黒様みたいでした(笑)。

――運動不足でなおかつ太っているとなると、体を動かすのも大変だったと思います。その状態から、最初は何をやったんですか?

川島 まず、太っている人って呼吸がやばいじゃないですか。朝も苦しくて起きるんです。ヒザも痛いし、腰痛もひどくて肩こりもひどくて、トレッドミル(ランニングマシン)にも乗れないんです。走れないし、お腹が邪魔で腹筋もできない。ヤバいですよね。だからパーソナルジムでパーソナルトレーナーをつけて、最初はハードルを片足でまたぐということから始めました。ジャンプができないので(苦笑)。ステアクライマー(ステップマシン)は負担がかからないからできるんですけど、心拍数を細かく測られて、「川島さん、これ以上いったら死にます」って言われるくらいでした(笑)。

UR CASTLEの外観
入口から入るとすぐにあるのが筋トレスペースだ

――そんな状態からの肉体改造だったんですね。

川島 実はジムに行く前はバーボンダイエットとかもやったんです(笑)。

――バーボンってウイスキーですか?

川島 はい。お腹が減ったら何も食べずにバーボンを飲むというだけなんですけど、食べないから確かに痩せるんです。実際、それで一度はすごく痩せたんです。

――でも体には悪いですよね。

川島 そうなんです。お客様にも「どうやって痩せたんですか?」と聞かれるから、バーボンダイエットを勧めたこともありました。そうしたら、ある日突然そのお客様から電話がかかってきて、「川島さん、あのバーボンダイエットはすごいね」って言うんです。1週間で7キロも痩せたと。でも「私以外には勧めてないよね?」って聞かれて、何か様子が変なんです。だから「どうしてですか?」と聞いたら、「いま入院してるの」って(苦笑)。「あれで体が大丈夫なのは川島さんだけだからね」って言われました。僕も実際リバウンドしましたよね。食べなければ痩せるっていう考え方が間違っていたんです。

――ダイエット初心者にありがちな間違いですよね。

川島 ダイエットをするのとボディメイクをするのって全然違うじゃないですか。基礎代謝を上げて、筋肉というゴミ処理場の焼却炉の燃焼効率を上げてあげて、余計なものを燃やしていく。カロリーも脂肪も、基礎代謝さえ上がれば大丈夫だということをパーソナルトレーナーから学びました。

――しっかりしたパーソナルトレーナーに指導してもらうことで効果が表れてきたわけですね。

川島 基礎代謝が上がってビックリするくらい体重が落ちていったんですよ。スクラップ&ビルドが一番効率がいいので、筋肥大ではなくて筋破壊。寝汗をすごくかくようになったんです。

――寝ている間にも新陳代謝していると。

川島 あんまり体重計に乗ったりはしなかったんですけど、通っていたパーソナルジムの近くにティップネスがあって、そこではいろいろ細かく数値を測れるということで行ってみたら、体脂肪が39パーセントから7.5パーセントになってたんです。トレーニングを始めて半年ちょっとぐらいだったと思うんですけど、嬉しくてお店に数値が書かれた紙を持ってきてお客様に自慢をしていました(笑)。

――そういうお客様とのやり取りから、“筋トレ美容室”が生まれていくわけですね。

川島 そうなんです。

※次回は美容師・川島悦実の実態に迫る

川島悦実(かわしま・えつみ)
1973年6月3日生まれ。ヘアメイクアーティスト。HairMake UR代表取締役。美容室の情報はこちらをチェック→http://ur-hairmake.com/

聞き手・佐久間一彦/撮影・山中順子