命を救ってくれた筋トレ業界に恩返しがしたい
――美容とトレーニングってまったく別物のようにも思われがちですが、通じる部分もありますか?川島 ありますね。今まで美容師は肉づきと骨格に対してしか髪型を提供できなかったんです。たとえば真ん丸の顔の人にボブを乗せたらこれは犯罪です(笑)。
――こけしになってしまいますね。
川島 でも肉づきからコントロールして、口角、アゴのラインを変えられるようになったら、できるスタイルが増えるんですよ。普通の美容院だったらエステを出しますとか、リラクゼーションがどうこうと言いますけど、そんなものはいらないですから。痩せたいなら痩せさせましょうということですね。
――肉づきを変えることができれば、もっと髪型を変えられるということが筋トレによって発見されたわけですね。
川島 そうなんです。お客様は美しくなりたいと思って髪を切りに来る。でもヘアはあくまでも額縁で、絵は肉づきと骨格、輪郭なんです。以前は額縁しかいじれなかったのが、筋トレをやるようになって、絵にまで手を出せるようになったんです。お客様に合った体と髪型を同時に提供することができるんです。
――川島さんは美容師として確かな地位を築いてきたと思います。そのなかでもトレーニングをしたことによって、さらなる発見があってカットだけではできない美を作れるようになったと。
川島 はい。僕は筋トレの業界に対して恩返しをしたい思いがあるんです。自分は筋トレに出会っていなかったら死んでいたかもしれないわけですから。だとしたらそこに足りないファッションという部分で、もし僕がプラスオンできたとしたら、ものすごいムーブメントになるかなと思っています。たとえばボディビルダーの方たちの髪型って坊主かツーブロックがほとんどで、せっかくすごい体なのにもったいないなって思うことがあるんです。二面性が必要だと思うんですよ。コンテストで日焼けをしてテカテカの状態のときはパリッとしたリーゼントというのもいいと思います。でも私服の時はおしゃれな髪でいてほしいですよね。両方の面でもっとカッコ良さを出せる人が増えたらいいと思うし、そういう手助けもできたらいいなと思っています。
――ここの筋トレ美容室だけでなく、UR Fitというパーソナルトレーニングジムもオープンしましたね。
川島 これは美容室のお客様がいっぱいになったということもあるんですけど、パーソナルトレーナーの方たちが輝ける場所を作りたいという思いもあったんです。ジムを出したくても経済的なことを考えて志半ばであきらめている人もいると思います。トレーニングは素晴らしいことなので、もっとみんながトレーニングをできる場を作る、トレーナーたちの駆け込み寺を作りたいという気持ちもありました。僕はトレーニングによって命を救われたので、どんな形でも恩返しをしたい。困っているトレーナーがいたら、みんなここに来たらいいのになって思っています。
――そういう理由があってジムを作ったのですね。
川島 そうなんです。僕自身ももっと筋トレと美を追求していきたいと思っています。
1973年6月3日生まれ。ヘアメイクアーティスト。HairMake UR代表取締役。美容室の情報はこちらをチェック→http://ur-hairmake.com/
聞き手・佐久間一彦/撮影・山中順子