筋肉をどう使うか? そこが難しい部分であり面白い部分
――七種競技は100メートルハードル、走高跳、砲丸投、200メートル、走幅跳、やり投、800メートルとありますが、それぞれに求められるフィジカル能力の違いはどんな部分でしょうか?
津吹:まず共通しているのはメンタリティのところだと思います。一日6~7時間くらい競技をし続けているので、一瞬一瞬で集中する力が求められています。それぞれ細かい技術的なものは違うと思うんですけど、大会までに絞るポイントを各種目1、2個見つけて、そこに向かって集中することが大事ですね。
――七種目あると、一つひとつへの集中力はより大事になりますね。
津吹:はい。考えるのは練習のほうでいっぱい考えて、試合ではもうそのポイントに対して集中していくだけという感じで仕上げていかないと、頭も体も疲れてしまいます。筋力的な面で言うと、他の種目の選手よりも全身の筋肉をバランスよく整えていく必要があると思います。体幹もそうですし、上半身、下半身、全部必要ですね。種目が多い分、他の選手よりも技術練習は多いし、筋トレも他の選手よりも多いと思います。
――筋トレはどういうスケジュールで行なっているのでしょうか? 技術練習とは別にウエイトの時間を作っているのですか?
津吹:最近は年で体力がなくなってきたので(笑)、この日は走り、この日は種目練習、この日はウエイトがメイン……という感じで、分けてやるようにしています。
――ウエイトの日はどんなメニューをこなしているのでしょうか?
津吹:ビッグスリーは必ずやります。あとはクリーンもやりますね。それにプラスして、専門的な高跳の補強ドリルとか、重りを使ったドリル、動きづくりとかをやっています。細かい筋肉や苦手な部分というのは個人差があるので、そこは個人に任されているところですね。
――まずはビッグスリーで大きい筋肉から攻めて、競技に必要な細かい部分も鍛えていく感じなのですね。
津吹:そうですね。今は試合シーズンなのでそういう感じですが、冬の間はウエイトの日を決めるのではなくて、種目練習の後に上半身の筋トレ、走りの練習の後に下半身の筋トレという感じでやっていました。
――オフシーズンは徹底的に鍛え込むんですね。
津吹:週5くらいで筋トレをしていたので、去年と比べてずいぶん体が大きくなったと思います。パワーはついたと思うので、あとはそれをどう競技に生かしていくかという仕上げの段階ですね。ただ筋肉をつければいいわけではなくて、その筋肉を使うところまでが競技なので、そこが難しい部分であり、面白い部分でもありますね。
――筋トレは好きなほうですか?
津吹:割と好きですね。持久系のトレーニングよりも、筋肉に効いてるなとか実感するじゃないですか。頑張ったからここに効いているというように、すぐに自分にフィードバックがあるので好きです。
――「超人女子」では、ハムストリングや大腿四頭筋、トランポリンジャンプなど、下半身部門で好成績を残していますよね。
津吹:下半身は大学入ってからメインでトレーニングしていて、とくにお尻周りですね。やっぱり前に進む筋肉なので、重点的に鍛えてきました。
――メニュー的にはスクワットとデッドリフトとあとは何を?
津吹:私はシングルスクワットとかシングルクリーンとか、結構片足でやる種目を取り入れています。陸上は片足でしか立たないですから。片足で実際の動きに近い動きでやっていくのが一番効率的と思ったので、そういうやり方をしています。やっぱり利き足ってあって、踏切足のほうが強かったりするので、そこは補うようにしています。両足でスクワットをやった後に、元気があれば片足のスクワットやクリーンもやるようにしています。
取材&撮影/佐久間一彦
1994年9月14日生まれ(おとめ座)。神奈川県出身。東京学芸大学所属。中学時代から陸上競技をはじめ、弥栄高校時代には七種競技、走高跳でインターハイに出場。走高跳では全日本ジュニアで4位。『超人女子』では陸上七種競技の選手としてのポテンシャルを発揮して、数々の種目で優勝を飾っている。
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