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仕事も筋トレも大事なのは超回復です。【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第15回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 関東地方も梅雨入りしましたね。梅雨明け、そして夏が待ち遠しいです。

先日、ある取材現場で、入社して初めての現場立会いという新入社員の方と一緒になりました。名刺交換も初々しく、とても新鮮な気持ちにさせていただきました。社会に出ると学生時代とは違う困難もあるかと思いますが、ぜひとも頑張ってもらいたいです。

そんな新入社員とは一転、私は今年で仕事を始めて20年になります。20年前の日本といえば、2月に長野オリンピックが開催され、4月にはアントニオ猪木が東京ドームで引退試合を行なった年。サッカー日本代表がワールドカップ初出場を果たし、松坂大輔率いる横浜高校が甲子園春夏連覇を達成したのも20年前の出来事です。

20年間仕事をやってきて、気づいたことがあります。それは、仕事とトレーニングは似ている部分がとてもたくさんあるということです。

まずは三種の神器。トレーニングでは、ベルト、リストラップ、パワーグリップ。編集記者でいえば、パソコン、レコーダー、赤ペン。どちらも欠かせないお供が存在します。

第一段階は正しいフォームを覚えること。

トレーニングは正しいフォームで行うことで、体に無理なく、効率的に筋力、筋量の向上が期待できます。逆にフォームが悪いとケガをする危険性もあり、つけたい箇所に筋肉をつけることもできません。

これを我々の仕事に置き換えた場合、正しい仕事の手順を覚えることになるでしょう。基本的なアポの取り方から取材の進め方、ラフの作り方や原稿の書き方、校正のルールなど“正しいフォーム”を最初の段階で身につけておかないと、先に進むことはできません。

続いてはトレーニング種目を変えること。

どんなに優れたトレーニングメニューでも、長期間行なっていると、体がその刺激に慣れてしまって、筋肉の発達を実感できなくなってしまいます。伸び悩むとトレーニングも楽しくなくなってしまうので、一定期間同じトレーニングをしたらメニューを見直したほうがいいのです。

仕事も同じです。ルーティンとなってしまい、同じことを繰り返しているだけでは楽しくないし、進歩がありません。自分なりに新しい企画を考えて、違う取り組みをしていくことが、成長につながります。

そして超回復。これはとても大事なことだと思います。

筋肉の超回復には、重負荷のトレーニングによって、筋線維を損傷させることが必要になります。その損傷した筋線維が休養と栄養により回復することで、より筋肉が太く強靭に生まれ変わることを「超回復」と言います。これは仕事でも本当に大事なことだと思います。

トレーニングがそうであるように、仕事も限界を超えないとそれ以上にできるようにはなりません。「私にはこれくらいしかできません」と言って、限界を超えることを恐れていると、筋線維を損傷させるところまでいかないため、その後の超回復は望めないのです。

思えば私も新人の頃は、一晩で1ページ作るのが精一杯でした。それがいつしか5ページになり、10ページになり、気づけば2日で100ページつくっているときもありました。それどころか近年は、ひと月に7~8冊(週1冊以上)作るのも特別大変なことではなくなっています。これは限界突破、超回復を繰り返した結果だと思っています。

やれば必ず結果につながる。競技やトレーニングを通じてそれを学んできたことが、仕事にも確実に生きてきました。仕事も筋トレも大事なのは超回復です。新入社員の皆さん、筋肉痛になることを恐れず、トライしてみてください。その先には自分を強く成長させてくれる、超回復が待っています。

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。