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駅のエレベーターはメタボ増進のために存在するわけではありません。【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第16回】

VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか?

ちょうど1週間前、車いすバスケットボールの国際強化試合『三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018』を取材させていただきました。

車いすバスケットボールは通常のバスケットボールとほとんど同じルールで行なわれます。試合は5対5で10分間の4ピリオド制。使用するコートやボールの大きさも同じです。特有のルールといえば、ドリブルの仕方。ボールをヒザなどに乗せて保持した状態で車いすを漕ぐことを「プッシュ」と言い、2プッシュ以内に1ドリブル、もしくはパスをしなければいけません。3回以上続けてプッシュした場合はトラベリングの反則となります。

車いすバスケの最大の特徴は持ち点制。選手は障がいの大きさによって持ち点が決められています。持ち点は1.0点から0.5点刻みで4.5点まで8段階あり、障がいの程度が軽いほど点数が高くなります。1.0~2.5の選手を「ローポインター」と呼び、3.0~4.5の選手を「ハイポインター」と呼びます。そしてコート上の5人の持ち点の合計は14点以内と定められています。

大会は日本代表が予選リーグから全勝で勝ち上がり、決勝でも前年優勝のオーストラリア代表を65-56で下して見事に優勝。日本代表はローポインターの選手にも得点力があり、どこからでもポイントを取れる強さが勝利につながりました。

さて、試合もさることながら、私がもう一つ注目していたのが会場のこと。この大会の舞台となった武蔵野の森総合スポーツプラザは、2年後の東京2020パラリンピックでも車いすバスケットボールの会場となる場所です。オリンピック、パラリンピックを意識して作られた会場であり、体が不自由な方専用の駐車場や更衣室が完備され、エレベーターや多機能トイレも多数備わっていて、スタンド席の車いすスペースも充実。とてもいい会場という印象を受けました。

以前、車いすテニスのレジェンド・国枝慎吾選手の取材をさせてもらった際、日本のバリアフリーの充実を高く評価していました。駅にはエレベーターがあり、スロープや誘導ブロックもあります。車いすでも通りやすくなっている幅の広い自動改札機もあるし、目が見えない方のためにテンキーのついた券売機や音声ガイダンス機能がついた券売機もあります。海外の各国を回っている国枝選手いわく、車いすで過ごす環境として日本はとても恵まれていると言います。

©Caito – stock.adobe.com

その一方で残念な部分も指摘されていました。それはバリアフリーへの理解度の低さです。海外では設備は整っていなくても、人々のバリアフリー意識は高い。逆に日本は設備は整っていても、意識の低い人がまだまだたくさんいます。

電車を降りた人々がエレベーターに向かってダッシュする光景は毎日見かけます。もちろん誰が利用しても構わないのですが、本来の目的はわかっていますか?という話です。駅のエレベーターは中年のおじさんのメタボを増進するためにあるわけではないのです。

自分の子供が小さかった頃、ベビーカーでエレベーターを利用しようとすると、スペースを取られるということで嫌な顔をする人もたくさんいました。乗り切れないときも、元気に歩ける人が自分から降りようとすることはほとんどありませんでした(そういう気持ちがある人はまずエレベーターを利用しない)。

また、電車のホームの点状(線状)ブロックの上に平気で荷物を乗せる人もよく見かけます。なんのためにそこに存在しているのか、まったく意識していないのでしょう。このようにバリアフリーの意識の低さを残念に思うことは多々あります。

東京2020オリンピック・パラリンピックまであと2年。世界中から訪れる人々に喜んでもらえるように、心の部分のバリアフリーはもっと磨いていかなければいけないなと強く思います。

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。