4年に一度のサッカーファン、スポーツファンの方へ。スポーツを楽しむ秘訣はシチュエーションです。【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第17回】

VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 私は深夜のワールドカップ観戦が続き、寝不足気味であります。

さて、日本代表は初戦のコロンビア戦で、下馬評を覆す2対1の勝利。ワールドカップでアジア勢が南米代表に勝ったのは歴史上初の快挙で、日本中が大いに盛り上がりました。結果は「日本やった!」でいいのですが、ここではスポーツ観戦という視点で振り返ってみたいと思います。

開始3分で退場者が出て、PKで得点が入って1対0。以後の87分間、11人対10人のハンデ戦となり、さらに人数が多いチームが1点リードという試合です。もしもこれが友達に誘われて観戦に行った、どちらのチームにも興味がないJリーグの試合だったらどうでしょう? 楽しいサッカー観戦になるでしょうか?

答えは否。

人数の多い勝っているチームは無理して攻めなくてもいい。負けているチームは攻めたいけど数的不利でボールを持てない。確実に退屈な試合です。

仮に日本代表の試合だったとしても、これが親善試合だったらどうでしょうか? きっと結果は同じ2対1の勝利でも、「10人相手にお粗末な試合」と新聞は見出しを打ち、酷評するはずです。

正直に言ってしまえば、日本対コロンビア戦は開始早々の退場劇があったことで、純粋なワールドカップの試合としては面白味に欠ける試合になりました。それでも多くの国民が盛り上がった理由は、そのシチュエーションにあります。

ワールドカップという最高峰の舞台で、日本代表が強豪国と真っ向勝負をする。このシチュエーションがあったからこそ、試合内容に関係なく、盛り上がることができたのです。

©Mirko – stock.adobe.com

同じことがオリンピックでも言えます。普段は「ルールがわからない」という理由で興味を示さない競技であっても、オリンピックのときだけはファンが増えて大いに盛り上がります。オリンピックという最高峰の舞台で我が国の代表選手が世界と闘うというシチュエーションだけで、十分に楽しめるから、ルールはわからなくてもいいのです。

実はこれこそが、スポーツ観戦を楽しむ最大の秘訣です。

スタジアムやアリーナでスポーツを生観戦したことがないという人の多くは、「ルールがわからない」、「知っている選手がいない」という理由で避けていると思います。

でも、ちょっと待ってください。平昌オリンピックでカーリングが大いに盛り上がりましたが、どれだけの人がルールを理解していたでしょうか? 事前に選手たちのことをどれだけ知っていたでしょうか? 私は20年前の長野オリンピックでの日本対アメリカ戦を見て、ギリギリの駆け引きに魅了されてカーリングが好きになった特殊な人間ですが、そんな人は消費税(8%)よりも少ないはず。多くの人は、さわやかで愛らしい日本代表選手たちが、世界を相手に闘うというシチュエーションに興味を持ったはずです。

スポーツ観戦のきっかけはそれでいいんです。難しいルールを把握してからスポーツ観戦に入ろうとすると、まったく楽しくないので失敗します。ルールを知らなくても選手のパフォーマンスを見るだけでも素晴らしさを感じることはできるし、どんな競技でも試合を見るときに、応援するチームや選手を決めてしまえば、必然的に勝ち負けへの興味が生まれます。その結果、どうしてポイントが入ったのか? なぜ反則なのか? といった興味も後からついてきます。まずは自分で応援する対象を決めて、勝手に日本代表戦のようなシチュエーションを作ってしまえばいいのです。

スポーツはすごく楽しいし、たくさんの感動があり大きなエネルギーをもらえます。それなのに4年に一度だけしか楽しまないというのはあまりにももったいないと思いませんか? 勝手にひいきを作って、自分の中の日本代表にしてしまえば、毎日がオリンピック、毎日がワールドカップです。最高ですよね。まだスポーツ観戦をしたことがないという方は、自分の中の日本代表を探しに、ぜひスタジアムやアリーナへ足を運んでみてください。

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。