【トレーナーの輪】関 拓磨




現在、日本のパーソナルトレーナーは、物すごい勢いで増加中です。それだけ人々の健康やトレーニングに対する熱が高まっているという証拠でしょう。このコーナーでは、パーソナルトレーナーとして活躍する人物をフィーチャーして、紹介していきます。パーソナルトレーニングを始めようかと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。今回登場するのは、今年1月にオープンしたばかりのパーソナルトレーニングジム「UR Fit」の代表を務める関拓磨トレーナー。1号店オープン後、瞬く間に会員数が100人を突破し、9月1日には早くも青山に2号店をオープンした。破竹の勢いを見せるUR Fitの代表とはどんな人物なのか? 弱冠29歳にして一国一城の主として奮闘する関さんのトレーナーとしてのモットー、そして目指す未来について聞いた。

お客様には居心地のいい空間を
トレーナーが夢を見られる職場に

関さんがトレーナーを志すきっかけとなったのは、「スポーツに関わる仕事をしたい」という思いからだった。子どもの頃から幅広くスポーツに親しみ、大学ではアメリカンフットボールに打ち込んで、スポーツの素晴らしさを身をもって体感してきた。「好きなことは仕事にするべきではない」という周囲の声もあって、一度は地元の福岡でホームセンターに就職したものの、「スポーツに携わりたい」という思いは日に日に大きくなっていく。「やっぱり好きなことをやろう」と、わずか半年で退社し、自分が進みたい道へと歩を進めることを決めた。

「スポーツに関わる仕事はたくさんありますが、自分の体が動けるうちはできるだけ現場に近い位置でやりたいなという気持ちがありました。トレーナーならどんなスポーツにも携われる仕事なので、やってみたいと思いました」

ホームセンターを退職すると、求職者支援制度を利用してトレーナーの勉強に励み、東京のパーソナルトレーニングジムに就職。就職先のジムには40~50名のトレーナーが在席し、プロスポーツ選手をはじめ、アスリートが数多く通っていた。こうした環境でスポーツ選手に触れ、ウエイトトレーニングの指導だけでなく、パフォーマンス向上という部分でも、スキルを磨いていった。

「こういう競技の選手にはこんなトレーニングがいいとか、こんな課題があるからこういう動きをやったほうがいいというようなことを現場で学ばせてもらいました。選手の課題があったらそれについて勉強して、学んだことを伝えるということの繰り返しで、自然と知識が身に付いていったと思います」

もともと独立して自分のジムを持ちたいという思いがあった関さんは、約4年間このジムで一トレーナーとして働いたのち、独立。お客様にとってもトレーナーにとっても理想の空間をつくりあげるべく、UR Fitを設立した。

ジムのコンセプトは「居心地のいい空間」。お客様がカフェに立ち寄るような感覚で通えて、のんびりくつろげるような場所。豊富なスポーツ経験を持つ人だけでなく、運動が苦手な人でも足を運びたくなるようなジムにしたいと考えていた。

「鍛えて筋肉をつけたり、痩せたりという結果を出すことはもちろん大事だと思います。でもそれ以上に僕は運動が生活の一部になるようにしたい。一日に10分とか5分だけのトレーニングでもいいし、立ち寄るだけでもいい。そのためにもトレーナーがお客様にしっかり寄り添って、ここに帰ってきたら居心地のいい場所というふうにジムをしたいんです。今日はちょっと喋りたいからと立ち寄るだけでもいい。まずはここに来たいなと思ってもらえる場所にすることが、運動経験が少ないお客様がトレーニングを継続していくための最初の一歩になると思います」

居心地のいい場所にするべくジム内装にもこだわった。もともと関さんのクライアントは女性が多かったこともあって、ゴツゴツした男らしさよりも女性が写真を撮りたくなるようなオシャレ感を意識したのだ。入口のフォトスポットはその象徴で、トレーニング後にインスタグラムに写真をアップしたくなるようなオシャレさだ。

また、1時間のセッションが終了しても、「はい、さようなら」とはならないのもUR Fitの特徴。時間のあるお客様はジムに残って、時間が空いているトレーナーとのお喋りタイム。実はこのお喋りタイムは、よりトレーニングの効果を上げるためのカウンセリング的な意味合いも含まれている。

「僕のお客様はキレイになりたいとか、機能改善を目指す人が多いんです。たとえば痩せたいと言ってもただ体重を減らせばいいわけではありません。体重は減ったけど足は太いままだとしたら、どこかに問題があるので体のクセや骨盤の位置などをチェックさせてもらって、問題があるところを改善していきます。お客様が考えていることや悩みは会話の中から見えてくることも多いので、そういう意味でも喋る時間を長くしたいなと思っています。とくに用はないけど、カフェに行く感覚でここに来て話をする。そういうことができるジムっていいですよね」

お客様に居心地のいい空間を提供していく同時に、もう一つ関さんが考えているのが、トレーナーにとっても夢のある場所にしていくこと。毎年パーソナルトレーナーは物すごい勢いで増え続けているが、様々な理由から志半ばで離れていく人も多い。そうした現状を変えていきたいという思いも大きい。

「トレーナーになっても志半ばで辞めてしまう人も多いのが実情です。夢を与えられない職業って寂しいですよね。頑張って結果を出した人が認められて、頑張ったぶんお給料が上がっていく。自分の頑張りしだいで稼いでいけるシステムを作っていきたいと思ってやっています。1年足らずで2店舗できるなんて予想もしていなかったのですが、今後はもっと店舗も増やしていきたいし、トレーナーの数ももっと増やしていきたいと思っています。夢破れていった子たちが、トレーナーという職業に夢を持てるようにしていきたいんです。仕事に夢をもって取り組むトレーナーが増えれば、お客様も自然とやってくると思うんですよね。みんなで切磋琢磨し合える本物の集団になれれば、もっともっとジムもよくしていけるし、トレーナーもよくなっていけると思います」

それまでのソフトな口調から一転、トレーナーという職業に対する熱い口ぶりは、仕事に対する誇りと情熱がダイレクトに伝わってくるようだった。

“爽やかに熱い男”

爽やかな笑顔とトークでお客様に居心地のいい空間を提供する一方で、トレーニングには情熱をもって取り組む。そして仕事仲間であるトレーナーたちが夢を見られる職場をつくりあげるために日々尽力する。みんながハッピーになれる空間を築くために、関さんは今日もさわやかに熱く燃えている。

関さんが代表を務めるURFitへの問い合わせはこちら→URFit

取材・撮影/佐久間一彦