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【My Training Life】Vol.02 義達陽子(主婦・ヘルプデスク)




アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回、登場する義達陽子さんは、行きつけの美容室に通っていたら、いつの間にかトレーニングにハマってしまったという主婦兼キャリアウーマン。そのトレーニングライフとはどんなものなのだろうか?

義達陽子さんは結婚13年目の主婦であり、20年以上、ユーザーサポート系の仕事を続けているキャリアウーマンでもある。現在の仕事はヘルプデスク。ヘルプデスクとは簡単に言うと、企業の社内でパソコントラブルが発生した際に、対応する窓口のこと。基本的に電話での応対になるため、お客様の顔も見えず、作業している様子も見えない。問い合わせをしてきた相手のスキルも様々であり、見えないところからサポートするのがその仕事だ。当然、難しさはあるものの、そのぶんやり甲斐も大きい。

「お客様の顔が見えないので何に困っているのかというヒアリングの難しさはあります。大変なこともありますが、トラブルが解決したり、『ありがとう』と言っていただいたり、お客様に喜んでもらえたときに一番喜びを感じます」

普段は仕事があるため、パーソナルは土日が中心

仕事に、家庭にと忙しい日々を過ごす義達さんがパーソナルトレーニングを始めたのは、昨年5月のこと。学生時代は陸上、社会に出てからはジャズダンスや社交ダンスと、体を動かすことは嫌いではなかったものの、まさか自分が筋トレにハマるとは思ってもみなかった。

「学生時代は陸上の110メートルハードルをやっていました。ただ、社会人になると圧倒的に運動する機会は減りますよね。よくありがちな、スポーツクラブに入会しては通わなくなって月会費だけを納め続けるというのを何回も経験しています(笑)。人生で最大に太っていたのは、結婚して少し経ったぐらいのときだと思います。体重計に乗るのが嫌だったので何キロだったのかはわからないんですけど、自分で明らかに太ったのがわかっていたので、見てみないふりをしていました」

結婚してからはあまり運動をしない日々が続いていたが、1年前に劇的な変化がやってくる。長年通っている美容室に、あるときからトレーニング器具が置かれるようになった。義達さんは、VITUP!でも紹介した“筋トレ美容室”ことUR CASTLEでカットしていたのだ。

「(UR CASTLEの)川島さんには20年以上前から髪を切ってもらっているんですけど、『ここでパーソナルトレーニングを始めたからやってみない?』と声をかけられました。『ブラジリアンビキニを着よう!』って(笑)。私は社交ダンスをやっていて、もっとうまくなりたいと思って、ちょうど家の近くのフィットネスジムで1時間のプログラムを少しずつやるようになった頃だったんです。どうせジムに行くならということで、ここでやってみようかなって軽い気持ちで始めました」

それまでバーベルやダンベルを使ったトレーニングの経験は皆無。しかし、義達さんが筋トレにハマるのに長い時間は必要なかった。パーソナルトレーニングを始めて3カ月が過ぎた頃には、トレーニングをやらないと気持ちが悪く感じるようになっていた。今ではスクワットで最大140㎏も上げるほど、筋力アップに成功。筋トレ効果で社交ダンスにも好影響が出ている。

「筋トレは体の動かす部位をすごく意識するじゃないですか。そうすると、ここを動かすためにはこの筋肉が必要だなとか、こう動かせばキレイに見えるなとか、社交ダンスに生きることもたくさんあります。筋トレで体幹も鍛えますし、ダンスにも体幹は必要ですから。社交ダンスのときは背中が広く開いた衣装を着るので、背中の筋肉を見てビックリされることもあります。社交ダンスの仲間にも、職場の仲間にも、最近はお尻を褒められるので、それが嬉しいですね(笑)」

人から褒められれば当然モチベーションになる。現在はお尻のトレーニングに重点を置いていて、岡部友さん主催の「Fitness Angel Camp」にも、50人規模、100人規模、200人規模と3度参加したほどだ。1年以上トレーニングを続けてきて、食事制限を一切することなく体重も体脂肪も減少。体の変化を実感しているからこそ、何か目標を持ちたいという気持ちも大きくなった。そして12月には初めて大会に出ることを決めた。

「最初はちょっと体を動かしたいなというぐらいの気持ちだったんですけど、こんなにハマるとは思いませんでした。周りの人には『どこに行くの?』って言われています。でも私にとってのトレーニングはもはや欠かせないものですし、食事をするとか、寝るとか、お風呂に入るとかと一緒の感覚なんですよ」

パーソナルトレーニングを始める際、トレーナーとは2つの約束を交わした。一つは週に1回はパーソナルトレーニングを行なうこと。そしてもう一つは、一日5分でも10分でも自主トレをすること。毎日の自主トレを効率よく行うために、義達さんはとんでもない方法を開発してしまった。

「職場に少し広めのお手洗いがあって、いい感じの高さの荷物置き場があるので、そこに手をついてプッシュアップをやっています(笑)。あとは階段をのぼるときは一段飛ばしするようにしたり、仕事中、時々空気椅子をやったりしています。空気椅子は周りの人に気づかれないように、少しだけ腰を浮かせてギリギリまで我慢するようにしています(苦笑)」

まさにどこでもトレーニング。元プロレスラーの佐々木健介さんは、プロレス界でも屈指のトレーニング好きとして有名で、手すりや角を見つけるとそれを使ってどこでもプッシュアップを始めてしまうというエピソードがあった。義達さんもそのぐらいの感覚なのかもしれない。

「去年の5月からパーソナルトレーニングをやってきて思ったんですけど、人に教えたりサポートしたりとか、それで人に喜んでもらうという意味では、私がやっているヘルプデスクの仕事と、パーソナルトレーナーの仕事って通じる部分があるのかなと思います。トレーニングは私にとって欠かせないものになったので、きっとおばあちゃんになってもやっているんじゃないですかね(笑)」

仕事では人をサポートして喜びを与えている。その一方でトレーニングではサポートを受けながら自らの喜びに変えている。義達さんの今の生活は、至るところに喜びが溢れている。

取材&撮影/佐久間一彦