沈みゆく南太平洋の楽園、ツバルのスポーツ事情 その2




地球上に残された数少ない楽園であるツバル。この国のスポーツ事情を紹介する第2回。今回はツバルで人気のスポーツを紹介する。

意外に流行っていない、マリンスポーツ

太平洋のサンゴ礁といえば、ダイビングと思う人が多いだろうが、ここツバルではほとんど行なわれていない。孤島ゆえ、設備を整えることが難しく、そもそも観光客も少ないからだろう。ダイビング同様、ここでは、ウインドサーフィンやジェットスキーなどリゾートでおなじみのマリンスポーツを見かけることはない。ただし、シュノーケリングはけっこう行なわれている。と言っても、海に囲まれた日常を送る地元民がこれをわざわざすることはない。子どもたちがゴーグルをつけて海に潜ることはあっても、それは生活の一部だ。

ツバルへとフィジーを往復する週2便の小型のプロペラ機は常に満杯である。乗客は、船員として出稼ぎにいくか留学するツバル人か、ツバルに用のある国際機関のスタッフだ。こういう国際機関のスタッフがやってくると、地元民は、彼らを連れてラグーン(礁湖)にあるスポットへ彼らを連れていき、シュノーケルを楽しむ。私も滞在中行ってみたが、人気のない浅瀬のサンゴ礁は「ダイビングいらず」の素晴らしいものだった。

 

ツバルの人気スポーツとは!?

一方、陸では前回述べたように夕方になると、この国最大の「運動場」である飛行場の滑走路で様々な競技が地元民によって行なわれている。見たところ、人気なのはバレーボールとサッカーだ。おおむね女子はバレー、男子はサッカーをやっている者が多い。

滑走路に張られたバレーボールネット

また、滑走路の近く(まあ、滑走路自体が村に囲まれているのだが)にはバスケットボールのコートがあり、ここには日没後照明が灯って、遊び足りない者が集まる。バスケットがメインなのだが、やはりサッカー人気はダントツなようで、2面あるコートは、1面がバスケット、もう1面はサッカーに使われるのが相場のようだった。

滑走路に隣接した空き地で行われるサッカーのナショナルリーグ

また、この国は旧英国領ということもあって、ラグビーやクリケットも盛んだ。平日は夕方に滑走路のアスファルト上でラグビーの軽い練習が行なわれるが、試合は週末にあるようで、こちらは滑走路の延長戦にある草っ原で試合が行なわれる。

アップをするラガーメン
ラグビーを楽しむ少年たち

サッカーの試合も週末に行なわれ、こちらは、ナショナルリーグが、同じく滑走路の延長線のスペースで実施されている。ナショナルリーグと言っても、南北400キロほどの間に、9つの環礁が散らばる国土のツバル、これを結ぶのは貨客船という中で、全島を転戦することなどできない。

9つの環礁のうちひとつはかつて無人島だった。残りの8つの島がそれぞれコミュニティを作っているのだが、近年、離島から首都フナフチへの転居が増加したことにより、この島には、残りの7つの環礁のコミュニティも存在する。この8つの島ごとのコミュニティがサッカーチームを作り、ナショナルリーグを行なっているのだ。

それにしても、気になるのがバスケットコートと同じく滑走路に寄り添うようにして建てられた国立競技場。小さいながらもスタンドもあるこの競技場だがあまり好まれていないのか、サッカーのリーグ戦でも使われることはない。放っておくと、すぐに草が生えてくるのか、整備員が定期的に草刈りをしているが、国際試合くらいにしか使用しないようだ。(つづく)

滑走路横にある国立競技場だが、あまり使われることはないようだ

取材&文&撮影・阿佐智