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【石森太二の「TAIJI THE WORLD」第7回】ケガとの上手な付き合い方




プロレス界でも屈指の筋肉美を誇る石森太二選手の連載コーナー『TAIJI THE WORLD』。トレーニングをしていると、どこかを痛めてしまうこともあります。プロレスラーの場合は、試合で負傷をすることも多々あります。そうしたなかでのトレーニングはどのようにしているのか? 今回のテーマはケガとの上手な付き合い方。

寝ているだけでケガが良くなるとは思わない
やれることをやりながら治す

プロレスにケガは付き物です。現役を長く続けていれば、故障を抱える箇所も出てくるし、ケガをしたり、治りにくくなったりすることもあります。ケガをしているときは、休んだほうがいい……という考え方もあるでしょう。しかし、自分たちのような仕事の場合は、痛めている箇所があっても、まったくトレーニングをしないというわけにもいきません。また、多少のケガや痛みがあっても試合をするのは当然。ケガとの付き合い方は、一般の人にはあまり参考にならないかもしれませんが、自分なりの考えを紹介したいと思います。

ケガをしているとき、無理してトレーニングをして悪化させてしまうのが最悪です。その一方で、それを理由に何もやらないというのも、あまり肯定はできません。そもそも痛めている箇所以外のトレーニングは通常通りできるはずなので、できることをやるというのが基本中の基本。痛めている箇所であっても、筋力を落とさないためにトレーニングをする方法もあります。

たとえば肩が痛いとしたら、プレスの動作が痛いのか、それともレイズのときにどの方向に動かすのかが痛いのか、まずはどういう動作が痛いのかを自分でしっかり認識することが大事です。肩が痛かったとしても、痛くない方向や動かし方があるはずなので、その方向で軽い負荷でトレーニングをすることもできます。まったくやらなければ筋肉が落ちてしまうので、ケガをしていたとしても大丈夫なやり方を探してやってみるのもいいでしょう。

ケガをして病院に行くと、よく「安静にしててください」と言われることがありますが、自分の持論としては、「寝ていれば治る」なんてことはないと思います。安静だからと言って運動をしないという状態が続いたり、寝ている期間が長くなればなるほど筋肉は衰えていきます。そうならないためにも、できる範囲の運動をして、動かしながら治していったほうがいいと思います。ケガをしていても試合をするプロレスラーの特殊な考え方なのかもしれませんが、自分には「寝て治す」「寝ていれば治る」という考えはありません。

何年か前にぎっくり腰に悩まされた時期がありました。安静にしているようにと言われたので、寝ていれば回復するのかと思いきや、まったく症状に改善は見られませんでした。このまま寝ていてもしょうがないと思って、トレーナーさんにテーピングで保護してもらった上で、できる範囲のトレーニングで体を動かしていたら、回復が早くなったということがありました。

このぎっくり腰のときに限らず、一時期は腰痛に悩まされることがありました。今にして思うと、体の使い方に問題があったことがわかります。ウエイトトレーニングをする際にブレがあったり、骨盤のどちらかが上がっていたりして、それが負担となって腰を痛めやすかったのです。このように、ケガというのは、体の使い方の問題が大きいと思います。このケガをきっかけに、体幹、コアを徹底的に鍛えて、体をしっかり使えるようにしたことで、今では腰を痛めることはほとんどなくなりました。

最後に自分のケガに対する考え方をまとめると、ケガをしないためにはしっかりした体の使い方を覚えること。ケアをしっかりすること。そしてケガをしてしまったときは、休むだけでなく、できることをやりながら治すということも、時には必要だと思います。

石森太二(いしもり・たいじ)
1983年2月10日、宮城県出身。闘龍門に入門し、2002年5月11日、メキシコ・アレナ・コリセオでの橋本史之戦でデビュー。2006年からNOAHに参戦し、GHCジュニアヘビー級王座最多防衛記録となる10度の防衛を記録。2018年にNOAHを退団し、現在は新日本プロレスを主戦場として、ジュニアヘビー級戦線で活躍している。プロレス界でも屈指の筋肉美の持ち主。