12月15日(日)、SAWAKI GYM ACADEMYにて「自重トレとウェイトトレの効果を上げる~筋肥大の生理学とバイオメカニクス~」と題したセミナーが開催された。講師は、NHK『みんなで筋肉体操』の監修を務めている谷本道哉氏(近畿大学准教授)だ。
「筋肉は裏切りますよ」
と、谷本氏。「2018ユーキャン新語・流行語大賞」に「筋肉は裏切らない」がノミネートされたのをご存知の方も多いだろうが、果たしてそれと相反する言葉の意味とは。
「筋トレは、『裏切らないやり方』をしてはじめて『筋肉は裏切らない』と言えます。そういう意味では、非常に責任感のある言葉ですよね。たとえばベンチプレス。みなさん、ただ重さにこだわってやっていませんか? 効果の低い、リスクの高いやり方をしがちです」
こうしてはじまった、“裏切らないやり方”を学ぶセミナー。
まずは筋肥大の生理学的観点から基本となる考え方を学んでいく。「そもそも筋トレの位置づけとは?」というところからスタート。筋トレにおける筋力とは、あくまでその測定条件(行った筋トレ動作)における筋力であり、必ずしもある種目で高重量を上げられること=あらゆる動作で力が強い、というわけではないと説明。そのうえで、筋肥大を促すのに適したトレーニングとは、物理的ストレスと化学的ストレスをバランスよく与え、「中重量・中回数80%1RM程度で8-12回」がベースであると話した。
さらに話は続き、「筋トレで身体を痛めてしまっては元も子もない」「高齢者であっても筋肉は発達する」「軽めの負荷でもしっかりと追い込むことで筋肥大につながる」といったポイントを、実際に谷本氏が行なった研究データなどを用いながら、説明していった。
座学セッションの後半には、冒頭で挙げたベンチプレスに焦点を絞り、効率よく効かせるトレーニングについて詳しく解説。
「筋トレをやっている人を見ると、1回1回を要領よく楽をしながらやっている、と思うことがあります。もっと効かせられる方法はありますよ。ちょっと重さにこだわりすぎなのではないかな、というのが最近の筋トレブームを見ていて感じることです。そのなかで一番よくないのがベンチプレス。ベンチプレスは●kgというのがわかりやすいからでしょう」
★後編では、座学の続きと実技セッションの模様をお届けします。
≪谷本道哉氏プロフィール》
1972年、静岡県生まれ。近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科准教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は身体運動科学、筋生理学。スポーツ・トレーニング、健康運動指導の現場に精通した研究者であることをモットーとする。
取材・文/木村雄大 撮影/神田勲
取材協力/パーソナルトレーニングスタジオSAWAKI GYM(HP:http://sawakigym.com/)