柔道を始めた頃は遊び感覚
以前は結構ぽっちゃりでした
渡辺華奈選手は愛らしいルックスと、それとは対照的なバキバキの筋肉美の持つ格闘家。もともとは柔道家として全日本ジュニア、アジアジュニア優勝、東日本実業団団体2連覇などの実績を持ち、全日本強化指定選手(7年間)として、オリンピックを目指した実力者だ。2017年に総合格闘家に転身すると、圧倒的なフィジカルを武器に無敗の快進撃を続けている。まずは柔道家としての歩みを聞いた。
――柔道を始めた時期ときっかけを教えてください。
渡辺:柔道は小学校1年生のときに始めて、それから22年間やっていました。きっかけは家族みんなで「家族スポーツ」として、父と兄と一緒に始めました。
――もともとお父さんがやっていた影響というわけではなく、一緒に始めたのですか!?
渡辺:そうです。あとは「最近は物騒だから」ということで護身術的な意味合いもあって。護身になりすぎてしまいましたね(笑)。
――小学生時代だと習い事の選択肢もいろいろあったと思います。そのなかで柔道はやってみてどんな印象でしたか?
渡辺:同じ時期に新体操もやっていたのですが、柔道のほうが楽しくて新体操はやらなくなってしまいました。もしも強い道場だったらスパルタで柔道が嫌になっていたかもしれないですけど、小学生の頃は遊び感覚でやっていたので、楽しいという印象のほうが強くて好きになりました。
――楽しく遊び感覚でやっていた柔道に本格的に取り組むようになったきっかけは?
渡辺:本格的に取り組むようになったのは中学校に入ってからです。すごく強かったわけではないんですけど、ご縁があって私立の強豪校に入れてもらって、そこからは毎日本格的に練習をするようになりました。
――遊び感覚だったものがいきなり本格的になると大変だったのでは?
渡辺:いきなり勝つことを目的とした柔道にシフトしたので、最初は練習に付いていくのに必死でした。部活の中でも一番弱かったので誰にも勝てないし、とにかく毎日必死でやっていただけでした。必死にやっていて気がついたら強くなっていたという感じですね。負けず嫌いだったので、しがみついてでもやるって思っていました。
――柔道の練習について、とくにフィジカルの部分をお聞きしたいのですが、筋トレは学生時代からやっていたのですか?
渡辺:筋トレは大学生になってからですね。中学、高校では筋トレは一切やっていません。腕立て伏せやロープを登ったり、サーキットトレーニングだったり、柔道の練習の中で基礎体力を高めていた感じです。ウエイト器具はほとんど使っていません。
――実戦の中で体力をつけていったのですね。
渡辺:そうですね。筋トレを取り入れていた学校もあると思いますが、私は家からの通いで練習の時間も限られていたので、柔道の練習しかしていませんでした。
――大学は名門の東海大ですよね。練習も相当ハードだったのでは?
渡辺:日々の(柔道の)練習はもちろんたくさんやるんですけど、ウエイトとかランニングも毎日でした。それまではウエイトやランニングはやっていなかったので結構きつかったです。
――ウエイトを本格的に始めたのは大学生になってからなのですね。
渡辺:バーベルも遊びで持ったことがあるぐらいでしたから、最初は全然できませんでした。自分でどれくらいの重量を上げられるか、本格的に測ってみたのも大学に入ってからです。
――あまり筋トレをやっていなかったということは、学生時代は現在のような筋肉質な体型ではなかったのですか?
渡辺:全然違います。どちらかというと、あんまり筋肉質ではなくて、筋肉もあってちょっと脂肪も乗っているタイプだったと思います。結構ぽっちゃりでした。だけど足は細かったり、なかなか筋肉はつきづらかったかもしれません。
――大学でウエイトトレーニングをやるようになって体つきは変わったのですか?
渡辺:大学のときに体はできてきたかなとは思ったんですけど、それでも今のような感じではなかったですね。
――そうなんですね。柔道の実戦の部分で言うと、かなりパワーがないと全国のトップでは闘えないと思います。パワー、フィジカルは強いほうだったのでしょうか?
渡辺:パワーはあったほうだと思います。結構パワー柔道でしたね。でも得意な動きではパワーがあるんですけど、苦手なところでは弱かったりしました。
――とくに必要とされるのは腕の力ですか?
渡辺:引きつける力があったので、そこでは力負けすることはほぼなかったです。逆に突っ張るほうの力が弱かったんです。なので引きつけられたときに離すという動きが苦手でした。
――同じ組手でも引く力と押す力は別物なのですね。
渡辺:組手によっても違うんです。私は右組なんですけど、同じ右組同士だと組手では押す力が大事になります。押す力が弱い私は右組の相手は苦手でした。普通はケンカ四つのほうが苦手という選手が多いのですが、逆の組手の場合は引く力が大事になるので、私はケンカ四つのほうが得意でした。
第2回に続く。次回は柔道独自のトレーニングや食事管理による肉体の変化について。
取材・佐久間一彦/撮影・菊田義久
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRAZIN初参戦で杉山しずかに勝利。18年の大晦日には杉山と再戦し、11秒でKO勝ち。FIGHTER’S FLOW所属。