スポーツ深読みシリーズ~ホッケー【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第57回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 明日から4月、新年度の始まりであり、新元号も発表されますね。

新しい1年、新しい元号ということで、「週刊VITUP!」でも新たな企画として「スポーツ深読みシリーズ」をスタートさせたいと思っております(不定期)。私はこれまでに数多くのアスリートや各競技団体の関係者の方の取材をさせてもらってきました。この1カ月でも陸上・山縣亮太選手、ホッケー・清水美並選手、レスリング・乙黒拓斗選手と、東京2020オリンピックでの活躍を期待される選手にインタビューをしています。こうした取材を通じていろいろな競技の面白さを学んできました。独特のルールや、雑学などをこの場を利用して皆さんに紹介して、いろいろなスポーツに興味を持ってもらいたいと思っています。

今回、紹介させていただくのはホッケーです。

写真:公益社団法人日本ホッケー協会

 

グラウンドホッケー、フィールドホッケーなどと呼ばれたりすることもありますが、競技の正式名称は「ホッケー」。サッカーと同じ11人対11人、ゴールキーパー(GK)1人とフィールドプレーヤー(FP)10人というチーム編成で、15分4クオーター制で行なわれます。細かいルールを紹介しても楽しくないと思うので、ここでは職場や学校、飲み会などでちょっとした知識として話せるようなことを紹介しましょう。

男子日本代表の愛称は「サムライジャパン」です。「おいおい野球のパクリかよ!」と思ったそこのあなた、違います。この名称の元祖はホッケーなのです。ホッケー男子日本代表は2008年に「サムライジャパン」と命名。一方、野球日本代表が「侍ジャパン」と呼ばれるようになったのは2009年の第2回WBCから。名称が同じなので後発の野球が「侍」と漢字を使うことですみわけがされるようになりました。豆知識として覚えておいてください。

続いてはホッケーの必需品、スティックのお話です。シュートをするときは、ゴルフのスイングのように力強くボールを打ちます。私は左打ちなのですが、ホッケーではこれが大きな問題になります。実はホッケーのスティックは右打ち用しかないんです。

写真上の湾曲しているスティックがGK用で下の真っすぐのタイプがFP用

ホッケーのスティックはゴルフクラブのように平らな面(表面)と丸い面(裏面)があります。ボールを打っていいのは平らな表面のみ。そのためドリブルでボールを運ぶときは、スティックをクルクル回転させながら表面だけを使ってボールを動かします。左利き用のスティックがあると、このスティック扱いの反則を審判が見抜けなくなってしまうため、選手のスティックは右利き用に限定されているのです。「左利きは不利じゃん!」と思ったそこのあなた、正解です。左利きでも右利き用に対応できるようにならないといけません。

派手な審判がいるというのもホッケーの特徴です。多くの競技で審判の服装といえば、白や黒の単色で地味な場合が多いと思われます。ところがホッケーの審判はレインボーカラーのド派手なシャツを持っていて、それを着用することもあります。審判がレインボーシャツを着る理由は、目立ちたいから……ではありません。選手たちのユニフォームと色が被らないようにするためです。ホッケーはプレーヤーズファーストでユニフォームを決めます。両チームのFP、GKで4色使用されるため、白や黒だと色がかぶる可能性があります。そこで絶対に選手のユニフォームと色がかぶらないレインボーのシャツを用意しておくというのが、審判の中での暗黙のルールとなっているのです。選手のユニフォームはシャツ、パンツ、ソックスそれぞれの80%が単色と定められているため、7色のレインボーならば色かぶりの心配はありません。

ホッケーは男女ともにアジア大会を制して、すでに東京2020オリンピックの出場権を獲得しています。オリンピックに向けてどんどん注目が集まっていくことも予想されます。職場や学校でホッケーが話題になったときには、ぜひここで覚えたネタを話しに盛り込んでみてください。

 

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。