パラスポーツのゴールボールを体験しました~基礎知識編【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第76回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 毎日暑い日が続いていますが、夏バテなどしていませんか?

さて、先日、珍しい体験をしてきました。パラリンピックスポーツで、2012年のロンドンパラリンピックでは女子日本代表が金メダルを獲得したゴールボールを、一般社団法人日本ゴールボール協会広報・女子強化スタッフの増田徹さん指導の下、体験させてもらいました。

体験リポートの前に、まずはゴールボールという競技の紹介をしていきましょう。ゴールボールは視覚障害者のための球技として考案されたもので、鈴が入った重さ1.25㎏のボールを転がし、相手ゴールにボールを入れる対戦型競技になります。アイシェードと呼ばれる目隠しを着用した1チーム3人(ベンチ最大3人)で、鈴の音を頼りに交互にボールを投げ合い、味方ゴールを守りながら得点を競います。試合時間は前後半12分ハーフ(ハーフタイムは3分)。得点の多かったチームが勝利となります。

目が見えない状態でどうやってゴールを守ったり、ボール投げ入れたりするの?と思いますよね。見えなくてもできるように競技は考えられているのです。

まず競技の必需品となるのが、こちらのアイシェード。

装着すると光が完全に遮断されて、まったく見えなくなります。こちらはサングラスやゴーグルなどを扱うレンズメーカーさんが製作しているとのこと。しかし、以前は専用のものがなく、スキーのゴーグルを、光を遮断する素材で覆うなどして手作りしていたそうです。試合のときはさらに厳重に見えないようにするため、アイパッチと呼ばれるガーゼで目を覆い、その上からアイシェードを着用します。

試合中は審判の許可なくアイシェードに触れることは許されておらず、触るとアイシェードタッチという反則になります。アイシェードをつけると、視覚に障害がない人でも見えなくなり、視覚障害者の方と条件が同じとなるため、日本国内の大会では視覚障害者ではない人でも参加することができるのです。

そして目が見えないなかで動くために頼りにするのが、コート上に引かれているラインです。このラインは床との間に3ミリ以下のヒモを通してその上にテープを貼っているため、凸凹があります。

これを手や足で触ることで自分がいる場所を把握するのです。実際にラインに触れてみると、凹凸がはっきりとわかります。これをヒントに自分の体を正面に向けることが基本中の基本となります。

そしてボール。ボールの中には鈴が2つ入っていて、その音が選手たちのヒントとなります。音が聞こえないと競技にならないため、プレー中は観客が音を出すことは禁止されています。音が聞こえるようにボールには穴が開いています。そのため空気は入っておらず、弾みません。そしてかなり硬いです。

中の鈴は長く使用すると潰れて音が悪くなってしまうため、オリンピックや世界選手権では2~3試合使用しただけで新しいボールに変更されます。それくらい、音が大事だということです。

ゴールボールの基礎知識はご理解いただけたでしょうか? 競技のことを知った上で、いざ実践。実際の体験の模様は次回お届けします。それではまた来週。

 

写真/矢野寿明

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。