「京都に今どき珍しいガチガチ本格派のトレーニングジムがある」という噂を聞き、訪問してみたいと思った。
最近は「声出し禁止」という規則のあるジムも多い。しかし、本格派のボディービルダーやパワーリフターにとっては、気合いを入れて限界重量に挑めないことが悩みの種であるとも聞く。
ここは声出しOKで心ゆくまで自分を追い込める、その名も『パワーマンジム』。ジムの名からして、いかにも力を出し切れそうだ。
ジムを訪問したのは土曜日の夜。最も活気のある時間帯だ。
会員たちは限界まで重量を上げ、どどめの一発を上げるために「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」と野獣のような唸り声を上げている。
盛り上がる筋肉をまとい、オーラを漂わせた男たちが闊歩するジム内は、異様な空気が漂う。トレーニングをしたことがない人は少し驚いてしまうかもしれない。
だが、本格派のボディービルダーやパワーリフターのように、ハイテンションになってトレーニングしたい人にとっては、ありがたい環境だろう。
「どちらかと言うとハードコア志向の人向けですね。初期の頃はゴリゴリ系の会員さんしかいなくて、『ちょっとやってみようかな?』くらいの人には敷居が高かったかもしれないですね」と記者を迎えてくれた村山努代表は語る。
1997年にオープンしたパワーマンジムは、当時としては珍しい年中無休24時間営業を実現。当初は反対意見もあったと言うが、安全対策などをしっかりと練ることで徐々に理解を深めていった。
内部を見渡すと、なかなか見かけない特殊なマシン、オリジナルの加工が加えられたマシン、さらに会員がワンメイクの手づくりしてくれた器具もある。ハードコア向けというだけあって、会員の「ジム愛」の度合いも高い。
本格的なマシンがずらりと並んだジムだけに、会員も本格的な人が多く、ボディビルやパワーリフティングの大会で実績を残している選手も多数所属している。初心者には敷居が高く感じられるかもしれないが、ジムの雰囲気は明るく居心地がいい。
そのためか会員の定着率も高い。「もともと本当にやる気のある人しか入会してこないんですよ」と村山代表は言う。実際、個々のモチベーションは高く、トレーニング中に情報交換を行なう風景も見られた。さながら筋肉の梁山泊。
では、取材当日に見かけたハードコアな会員をご紹介しよう。
(続きは次ページ)