「汗をかく=痩せる」ではない【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第78回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 8月も間もなく終わりとはいえ、まだまだ暑い日が続いていますね。この時期のトレーニングの後は、まったく汗がひきません。

個人的に運動をして汗をかくという行為が好きです。日によって筋トレの部位は変わっても、最後は必ず30分のランニングで汗を流して締めるようにしています。筋肉を温めることは筋肥大の刺激になるということは、ネズミを使った研究で証明されています。ただ、ランニングで汗をかくのは、筋肥大を狙ったものではなく、精神面のほうに理由があります。汗腺が活性化されることにより気持ちをリフレッシュでき、何より汗は「頑張った証」という、達成感を得られます。「トレーニングしたぜ」という気分になるというわけです。

先日、ジムでサウナスーツを着込んでランニングマシンを利用している方をお見掛けしました。体型的に競技をやっているアスリートの方ではなさそうだったので、ダイエット目的で汗をかこうとしていたのだと思われます。暑いなか暑い格好で走る(歩く)人を久しぶりに見たような気がします。

「サウナで汗をかいて痩せてビールを飲む」と言っているおじ様や、「夏なのに全然痩せないわ」と言っているおば様がいることからも、「汗をかく=痩せる」と誤解している人がまだまだ多いのかなと感じました。

(C) す~ロン- stock.adobe.com

過去に何度か書いているように、学生時代は試合前に減量していたため、私もサウナスーツを着込んで走ることもありました。ただしこれは長期的なダイエットが目的ではなく、計量にパスすることが目的。サウナに入って汗を流すのも同様で、体内の水分を減少させて、一時的に体重を減らすためにやっていた行為です。人間の体の約60パーセントは水分なので、1~2キロは汗で簡単に減らすことはできますが、ダイエットとしては正解ではありません。

痩せたいのであれば大事なのは汗をかくことではなく(水分は減っても摂取したらすぐに元に戻ります)、エネルギーを消費すること。摂取カロリーと消費カロリーの収支をマイナスにすることです。だとしたら、たくさん着込んで苦行のような状態で効率の悪い運動をするよりも、快適なウェアでストレスなく運動量を高めたほうが、ダイエットには効果があるでしょう。

もちろん、着込んで苦しい状態で頑張ったという事実がモチベーションアップにつながることもあると思います。しかし、運動を継続するためには苦しくないほうがいいので、サウナスーツはやめたほうがいいでしょう。運動は快適に行なうのが一番です。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。